しこり(69)
ができたきっかけをしっかり問診しないと見落としてしまう外傷です。
その時点で、考えるべき診断は「手拳損傷またはMP関節化膿性関節炎=Clenched fist injury」と呼ばれる、緊急処置を要する外傷です。
皆さんもご自分の拳を触れるとお分かりになると思いますが、握り拳の状態だとMP関節は皮膚から極浅いところにあります。したがって拳で相手の歯を殴ると簡単に、歯が関節腔に達してしまいます。歯や口中は雑菌だらけですから、少量の雑菌が閉鎖空間である関節腔に入ると急激に繁殖して重篤な感染(化膿)を起こすのです。診断が遅れるとあっとう間に軟骨や骨まで影響を受けます。
ある男性が中指のMP関節(次の写真の矢印で示したところ)と呼ばれる部分のしこり、というより腫れと痛みを訴え来院されました。
実際の写真ですが、MP関節に小さなキズがあり腫れてとても強い痛み、特に握り拳にしたときに増強するとのことでした。
話を聞くと2日前に喧嘩をして相手の歯を拳で折ったと話していました。
話を聞くと2日前に喧嘩をして相手の歯を拳で折ったと話していました。
その時点で、考えるべき診断は「手拳損傷またはMP関節化膿性関節炎=Clenched fist injury」と呼ばれる、緊急処置を要する外傷です。
皆さんもご自分の拳を触れるとお分かりになると思いますが、握り拳の状態だとMP関節は皮膚から極浅いところにあります。したがって拳で相手の歯を殴ると簡単に、歯が関節腔に達してしまいます。歯や口中は雑菌だらけですから、少量の雑菌が閉鎖空間である関節腔に入ると急激に繁殖して重篤な感染(化膿)を起こすのです。診断が遅れるとあっとう間に軟骨や骨まで影響を受けます。
写真の患者さんを緊急で手術しましたが、案の上、MP関節内から多量の膿が出てきました。その後、幸いにも大きな後遺症を残すことなく回復しました。
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