『肝斑(かんぱん)』について

Dr.Ken

2010年01月06日 23:58

 『シミ』とは皮膚表面の色素斑の総称で、いろんな病変が含まれています。代表的なものが、老斑です。その他に老人性イボと呼ばれる脂漏性角化症、若年者に見られるソバカス、成人後に発症することが多い後天性真皮メラノーシス、そして今回のテーマである肝斑があります。それぞれ、治療法が異なりますので、キチッと診断する必要があります。
 さて、肝斑と言うと、肝臓と関係がありそうな名称ですが、実際の因果関係はありません。女性ホルモン、ストレス、紫外線なども原因として考えられています。

 肝斑の特徴として、以下の点が挙げられます。
*多くは扇状に広がる、やや大きい淡褐色のシミである。
*境界がぼやけて、ハッキリしていないことが多い。
*両頬や目の下側などに左右対称的に出現するが、目の周りには認めない。
*妊娠中またはピル服用中に出現することが多く、妊娠初期に出現すると、後期に向かうにつれ、濃くなっていく場合がある。
*出産後に薄くなることもあれば、濃いままで治らないこともある。
*更年期にも出現することがある。
*閉経後に自然に治ることが多い。

 肝斑の治療法
*トラネキサム酸は、元々、出血・炎症・アレルギーを抑える薬として使われていましたが、肌の美白効果もあることがわかり、肝斑治療の第一選択になりました。しかし、トラネキサム酸の美白効果は、正確には、色素沈着抑制効果です。色素細胞メラノサイトがシミの元となるメラニンを作り出すという働きを抑制するわけですから、残念ながら即効性はありません。最低でも2か月は内服して、様子を見る必要があります。また、トラネキサム酸は、ビタミンCと併用すると効果が安定するため、このふたつを合わせて飲むのが一般的です。
*外用薬としては、ハイドロキノンが代表的です。ハイドロキノンは、肝斑だけに用いられるのではなく、美白作用を持つ薬品のためシミ全般に使われています。ただし、ハイドロキノンには『肌の漂白剤』という別名があり、高い効果とともに皮膚への刺激も強くなり、美白どころか本来の皮膚の色すら失ってしまう可能性があります。
*レーザー照射は、これまで肝斑治療の禁忌とされてきましたが、最近、レーザートーニングという治療効果が高い方法が報告されました。Qスイッチヤグレーザーというマシンを使用しますが、以前から、あざ・シミ・入れ墨の治療に使われているおなじみのレーザーです。では、なぜ今、肝斑にQスイッチヤグレーザーと思われるかもしれませんが、レーザートーニングでは、あざ・シミ・入れ墨の治療と違ってレーザーを弱いエネルギー(低出力)で、細胞を破壊しないように照射します。そうすると、シミの原因であるメラニンを少しずつ壊していくことで、安全に肝斑を治療できるわけです。通常は、週に1回、5〜10回の照射が必要と言われています。

典型的な肝斑


当院でも1月末にQスイッチヤグレーザー「MedLite C6」を導入します。肝斑治療の代表的な機種で県内には、初お目見えとのことです。
1月23日にQスイッチヤグレーザー「MedLite C6」が当院に導入されました。
現時点では、県内に一台のみです。
肝斑の治療コースを設定しています。
是非、お問い合わせ下さい。
2月13日3月20日のブログもご覧下さい。
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