2011年02月09日 17:55
2009年に全国の医療機関で行われた乳がん治療のうち、乳房を残す「乳房温存手術」の割合が6年前の前回調査を6.0ポイント上回る59.2%に達したことが患者団体の調査でわかった。乳房を切除した場合に元の形に戻す「再建手術」の実施率も前回の3倍に上昇しており、患者団体は「医師に乳房を残したいという女性への理解が広がっている」と話している。
調査は乳がんの患者団体「イデアフォー」(東京)が実施。このうち乳房を残す「乳房温存手術」を受けた人の割合は59.2%で、実施率は前回03年の調査から6.0ポイント上昇した。1993年調査は23%、97年は36%で、回を追うごとに実施率が高まっている。温存手術が増えたため、がん組織とともに乳房を摘出する切除手術の実施率は36.5%と6.1ポイント減。
切除手術を受けた人のうち、手術と同時か一定期間後に患者の脂肪やシリコンなどで元の形に戻す再建手術を実施した割合は11.3%と前回(3.4%)の約3倍に高まった。
外見が変わることの精神的ダメージなどから、乳房の温存を望む患者は多い。イデアフォー世話人の中沢幾子さんは「かつてはしこりの大きさが一定以上だと切除手術を実施するケースが多かったが、患者に配慮しできるだけ温存しようという医師が増えた」と話す。