しこり(68)
が17年前のなごりという場合があります。
写真はご高齢の女性で17年前に右乳房切除術を受けています。
数ヶ月前から矢印部分のしこりに気づき徐々に大きくなって来たとのことです。写真は白黒ですが、しこりは紅色です。
組織検査の結果、乳がんの局所再発と診断されました。
ご覧のよう右乳房はもちろん大胸筋も切除され肋骨の上にうすい皮膚が載っている状態です。この手術方法は「定型的乳房切除」または「
Halsted手術」と呼ばれ以前は乳がんの標準術式でした。
ご存じの様に、現在では乳がんの治療でこれほど広範囲に切除することはほとんどありません。広範囲に切除しても、今、乳がん治療の主流となっている乳房温存術を行っても治療成績が変わらないとの結論が出ているのです。
乳がんの1つの特徴は、手術後10年以上再発がなくても、お見せした写真のように17年以上も経ってから局所に再発することがある点です。
他部位に再発のサインがなければ局所のしこりを広範囲に切り取って再建することで、長期予後が期待されます。
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