Dr. Kenの “ゼロより1” 日記

沖縄県那覇市久茂地 タイムスビル6階にある 形成外科KCの院長、Dr. Kenのブログです。

しこり(41)

を治療していると思わぬ、稀なできものに出会うこともあります。

 先日、20歳代の男性が大腿と腕のしこりを訴えて来院されました。どれも数年前に気づき、徐々に大きななってきたものの、痛みもないため放置していたとのことです。

 次の写真は大腿の皮下浅いところにあるしこりで丸く境界がはっきりしており、柔らかく、「粉瘤」を最も考えます。よく見ると診断の決め手になる鍵が見えます。何か分かりますか。
しこり(41)

 矢印の示す部分に点状のへこみが見えます。これが「粉瘤」である決定的な証拠です。実は、その小さな穴は粉瘤という袋が外部とつながる窓なのです。
しこり(41)


 次に腕のしこりですが、大腿のしこり同様に丸く境界がはっきりしていて、よく動きます。ただ違いは、やや硬く、やや深い位置にあることでした。
しこり(41)

 
前者はまず粉瘤に間違いなく、後者はその他の可能性も頭に入れながら、両方とも、その日の内に切り取りました。取ったものは、大腿のものは明らかに粉瘤で、腕のものは袋ではなく充実性のしこりでした。病理検査の結果、「エクリン螺旋腺腫」という珍しい病名と判明しました。


 しこりを診察する際には、「しこり」シリーズで紹介しましたように年齢、部位、大きさ、形、色調、硬さなどから、診断を絞り込み、最も頻度の高いものから挙げていきます。そして、診断に100%の確信が持てない場合には、手術中に治療方法を変えることも、頭に入れて治療にあたる必要があります。

そこで、臨床的(見た目、触った感じ)に粉瘤に似た病変を挙げてみます。なんと30以上もあるのです。
アポクリン嚢胞腺腫
アポクリン汗嚢腫
乳頭状汗管嚢胞腺腫
乳頭状汗腺腫
アポクリン汗管腺腫
円柱腫
エクリン汗孔腫
乳頭状エクリン腺腫
汗管腫
エクリン螺旋腺腫
淡明細胞汗腺腫
稗粒腫
脂腺腫
毛包腫
毛包腺腫
毛孔拡大腫
毛鞘棘細胞腫
毛漏斗部腫
毛孔腫
外毛根鞘腫
毛母腫
毛包上皮腫
汗嚢腫
基底細胞腫
線維腫
平滑筋腫
脂肪腫
血管腫
リンパ管腫
神経腫
神経鞘腫
神経線維腫


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