医療法人こころ満足会 形成外科KC

2010年07月31日

◆爪(1)

シリーズを始めます。

 形成外科KCでは、ネイル技能検定1級の資格を持ったネイリストと共にありとあらゆる爪のトラブルに対応しています。爪のトラブルは、ケガや何らかのできもの、陥入爪などによる爪周囲の化膿、巻き爪などの変形、種々の原因による爪の色の変化など、多岐にわたります。

 爪甲が分厚くなく、濁りなく、曲がりもほどよく、表面も滑らかな、正常な爪を維持することは、実は以外と大変なことです。体調を崩したり、爪周囲の皮膚をいためたり、水虫になったり、靴の不具合があったりすると、爪の変形、色調の変化が生じます。

 以前のブログで、「陥入爪と巻き爪の治療」について紹介しましたが、巻き爪の方を数多く診察すると爪白癬(爪水虫)の合併率の高さに驚いています。

 ご存じのように、水虫(白癬菌)は皮膚の角質を栄養源にしています。爪も角質が変化して生じた組織ですので、格好の水虫の住み処になります。

 爪水虫の診断は、厚く、濁ってもろくなった爪甲内に、白癬菌の成分を顕微鏡下に確認することで確定します。治療は、塗り薬は無効で、内服薬による治療が必要になります。

顕微鏡下に見える棒状のものが菌糸です。


 
爪甲の大部分が濁っている典型的な爪白癬です。
顕微鏡で菌を確認して抗真菌薬の内服を開始しました。


 
内服開始後2ヶ月、明らかに爪甲の濁りが改善しつつあるのが分かります。


 
内服開始後4ヶ月、爪甲の伸展と共にさらに改善しているのが分かります。


 
内服開始後6ヶ月、爪甲の濁りがほとんどなくなりました。



 
もう一つ、興味あることは爪白癬が改善すると共に、爪甲の変形(軽い巻き爪)も改善していることです(上:内服前、下:内服後)。

  

Posted by Dr.Ken at 23:18Comments(0)

2010年07月30日

◆座って過ごす時間

が長いほど平均寿命が短くなることが、医学誌「American Journal of Epidemiology(疫学)」オンライン版、7月22日号に掲載されていました。

 過体重や肥満の人に運動が有益であることは、すでに十分に立証され、座っている時間と肥満、2型糖尿病、心疾患リスクおよび小児の不健康な食生活との関連も認められています。ところが、座ること自体が寿命に影響するか否かに関する研究は少ないようです。
  
 今回の研究では、米国癌(がん)協会(ACS)による癌予防研究に参加した、特に病歴のない成人12万3,216人(男性5万3,440人、女性6万9,776人)への質問表の回答を分析。被験者は1993〜2006年の14年間追跡されました。

 ボディ・マス・インデックス(BMI)および喫煙などのいくつかの危険因子(リスクファクター)について調整した結果、1日6時間を座って過ごす人は、座る時間が3時間未満の人に比べて死亡リスクが女性で37%、男性で17%高かったということです。1日当たりわずかでも運動をすれば、座っていることによる死亡リスクが軽減される傾向がみられましたが、運動を考慮に入れても死亡リスクへの影響は依然として有意なものでした。一方、長時間座って過ごし、かつ運動や体を動かすことをしない人はさらに死亡リスクが高く、女性では94%、男性では48%でした。

 このような関連がみられる理由として

座っている時間が長いほどエネルギーの総消費量が少なく、体重増加や肥満になりやすい

単なる体重増加以外にも生物学的因子が存在する可能性、つまり筋肉、特に脚の筋肉を動かさないと、さまざまなホルモンの分泌が変化し、トリグリセライド(中性脂肪)、コレステロールなど、心疾患やその他の疾患のマーカーに影響がある


と研究者は考えています。  

Posted by Dr.Ken at 22:25Comments(0)Kenのつぶやき

2010年07月29日

◆しこり(40)

の中で、特徴的な症状として押すと痛みを伴うものについては、以前にも紹介しました。このように痛みを訴え、多発性にしこりを認めた場合は、血管脂肪腫の可能性が高くなります。

 血管脂肪腫とは、顕微鏡検査(病理検査)で通常の脂肪細胞がかたまりをなしている以外に、部分的に血管腫を思わせるほど血管成分が多いものを言います。

 次の写真は30歳代、男性です。
 四肢と体幹に少なくとも8個のしこりを認めました。最も強い痛みを伴うしこりをまず2個切除して、病理検査したところ血管脂肪腫と診断されました。



 血管脂肪腫は、脂肪腫の一種と考えられていますが、成人男性に多く、上肢と体幹に好発します。個々のしこりは、それほど大きくなることはなく、平均2cm前後で、触った感じは普通の脂肪腫を全く同じです。1人のヒトに77個の血管脂肪腫を認めたとの本邦報告があります。  

Posted by Dr.Ken at 20:03Comments(0)しこり

2010年07月28日

◆普天間基地

と言えば、今年の流行語大賞にノミネートされるのでは、思うほど連日取り上げられています。

 たまたま、過去の写真を整理していて、ハッとするような一枚を見つけました。

 今から10数年前、普天間基地近くの小学校に通っていた子供の運動会で撮ったものです。運動会の最中も爆音を響かせながら、至近距離で飛ぶ軍用機を何度も見ました。

 爆音の先に大きな飛行機を見つけたので、目の前に来たと同時にシャッターを切りました。たまたま、ジャスピンに撮れて、今にも民家に突っ込みそうな構図です。
  

Posted by Dr.Ken at 20:00Comments(0)Kenのつぶやき

2010年07月27日

◆しこり(39)

シリーズも、まだまだネタは尽きません。

 今日は、昨日の続き、血管鋳型についてです。

 18年前に、私が大学で形成外科を研修中に、各種の血管病変の鋳型を作って研究し、その結果をまとめて学位を得ました。
 
 具体的な、手順を紹介します。
 次の写真は頭皮の血管腫ですが、切り取る前に主要栄養血管が分かるときは、マーキングしておきます(下図)。


 血管に流し込む、2種類の薬品を混合します。


 血管腫を切り取った後に、しこりを栄養する主要血管に細い管を入れて生理食塩水で血管の中を良く洗い流し、準備して置いた樹脂を全体に行き渡るまでゆっくり注入します(下図)。なお、紅いのは樹脂の色です。血液ではありません、念のため。


 その後、一晩おいて樹脂が十分固まった後、特殊な液(水酸化カリウム)に数日間浸して置きます。すると、皮膚や脂肪などの軟部組織は溶けて、樹脂だけが残ります(下図)。


 そして、出来上がった血管鋳型を走査型電子顕微鏡で観察するわけです。
 すると、スターウォーズを思わせるような世界に遭遇します(下図、右下黒い横棒は0.6mmです)。


 文章にすると簡単なようですが、実際は多大な時間と細かな作業、忍耐を要します。
 でも、世界でまだだれも見ていない「世界」を見れることを期待して、ワクワクしながら研究に没頭していました。  

Posted by Dr.Ken at 20:00Comments(0)しこり

2010年07月26日

◆しこり(38)

シリーズの中で、血管由来の病変についてはいくつか紹介しました。

 突然ですが、クイズです。
 次の写真は何でしょうか。ちなみに右下に見える黒い横棒の長さは、1.5mmです。


 実は、血管性病変の構造を見るために血管鋳型を作って電子顕微鏡で観察し撮った写真です。普段は血液が流れている血管腔に樹脂を入れて、その周囲の軟部組織(皮膚、脂肪、筋肉、神経など)を溶かすと、血管のみを見ることができます。つまり、血液を抜き取ると、本来は何もないはずの中空を目に見える形にしたわけです。
 
 実際は、次の写真のような「海綿状血管腫」と呼ばれる病変の血管鋳型です。


 次回、具体的にどのように鋳型を作るのか、お話しします。  

Posted by Dr.Ken at 23:17Comments(0)しこり

2010年07月25日

◆しこり(37)

シリーズの中で、粉瘤の治療法については以前のブログで紹介しました。

 顔面などの露出部では、くりぬき法を多用していますが、理由は術後のキズ跡が小さく、仮に跡が残っても「何かやったな」的な印象が残らないからです。

 しこりの直上を紡錘形に皮膚を切開して袋(嚢腫)の回りを剥離しながら摘出するのが、教科書的な手術法です。くりぬき法で、小さな穴から完全にしこりを取り出すことは、教科書的な方法に比べ、手技の難易度は高くなります。特に、一旦、紅く化膿したしこりは、袋の境界がはっきりしないため、どの方法でも完全摘出は難しいものです。しかし、その時こそ大きく切開せず、くりぬき法でできるだけしこりの中味を取り出して、万が一再発しても小さいうちに対処すればより小さなキズ跡で治せるのです。

 
15歳、女性の化膿(細菌感染)した粉瘤です。しこりの中央からくりぬき法で袋を除去しました。



 
その1週間後です。穴を開けた部分にはかさぶたがついています。



 
術後1ヶ月です。わずかに赤みが残るのみです。



 30歳代、男性のオトガイの比較的大きな粉瘤です。



 例によって中央に穴を開けるデザインです。



 袋を丁寧に取り出します。



 
翌日の状態です。



 
術後1週間、すでに点状に赤みが残るのみです。



 粉瘤の方は、経過が良いと来院しなくなるため、6ヶ月後の写真を撮影することはなかなかできません。が、最終的な仕上がりがどの程度か、推して知るべしです。  

Posted by Dr.Ken at 23:25Comments(0)しこり

2010年07月24日

◆メスとシミ

 2007年7月にクリニックをオープンし、エンビロンのスキンケアシステムを全面的に導入しました。手術・ケガ・ヤケドなどのきずあとをきれいにすることが形成外科医の使命でもあるわけですが、患者さんの願いに十分応えることができず限界を感じることもありました。

 開業するにあたり、そのギャップをできるだけ埋める方法がないかと模索するなか、ついにエンビロンに出会ったのです。導入のきっかけは、私と同じ形成外科医でもあるフェルナンデス先生の開発コンセプトへの共感、16年の実績、プロティア・ジャパンスタッフの人柄などですが、決め手は1年半余、使用している妻の実感と私の目で見た確かな若返り効果です。これなら、きずあとのケアでも今までにない、より質の高いサービスを提供できると感じました。
 
 ところで、顔面のシミが女性の敵なのは当然ですが、メスで問題を解決してきた外科医にとっても、これまでにない難敵です。最新の光治療やレーザー治療でシミを消そうと思っても炎症後色素沈着をきたし、患者さんからお叱りを受け、お互い落胆することも少なくありません。そのため現在は、シミを局所的に治療していくのではなく、エンビロンと光やレーザーを組み合わせて顔面全体を治療し、「時間はかかるかも知れませんが、結果的に長期間にわたり良い状態が維持できますよ」とおすすめしています。その結果、半信半疑の表情で来院された方の肌がきれいになり、徐々に信頼の表情に変わっていくことに手応えを感じつつあります。
 
 エンビロン発祥の地、南アフリカに勝るとも劣らない紫外線が降り注ぐここ沖縄は、エンビロンの真価を発信するには絶好の場所と言えます。メスに続くエンビロンという強力な助っ人を得た美容形成外科医の今後に、乞う、ご期待といった心境です。


 2年前に、プロティア・ジャパンの広報誌に書いた原稿です。

 
初心忘れず!パンチ!
  

Posted by Dr.Ken at 23:58Comments(0)シミ・たるみ

2010年07月23日

◆金の自動販売機

が、存在するのをご存じでしょうか。

 リーマンショック、ドバイショック、ギリシャ危機さらにはユーロ不安という、世界経済の不安定さが増す中、安心できる資産として「金」への投資が加速しているようです。その結果、金価格は完全な右肩上がりの状況です。

 そんな中、アラブ首長国連邦のアブダビに金の自動販売機が登場しました。今のところ世界に一台です。設置された場所は、金満国の象徴的ホテルでもあるエミレーツパレスホテルです(2009年12月のブログで紹介しました)。

 ところで、私がドバイでの医療活動をするための手続きをしてくれたコンサルタントが、日本に金の自動販売機を導入する計画を持っていることを知りました。ドバイでの日系企業のコンサルタント事業が一段落したのを受け、数年前から「金」ビジネスに着目して新たな活路を探っていたようです。

 今、現在、成功している実業家の心はすでに「今」には、無いのでしょうね。

 洗練されたビジネス感覚と柔軟かつ厳しい視点で、世界中にビジネスチャンスを求め動き回る、彼こそ真の「実業家」と言えます。

 ちなみに次の写真は、エミレーツパレスホテルのロビー天井です。
 いかにもですね。
 
  

Posted by Dr.Ken at 23:54Comments(0)Kenのつぶやき

2010年07月22日

◆しこり(36)

は、レメディーの威力パート2です。

 レメディーの威力パート1については、以前のブログをご覧下さい。

 その後も、いわゆるイボ(医学的には尋常性疣贅と呼ぶウイルスによる皮膚病変)の治療にレメディーを使っています。特に、肉眼的に明らかに3個以上、イボを認めるかたには第1選択でレメディーをおすすめしています。

 理由は、肉眼的に3個以上ある場合は、顕微鏡レベルの小さなイボも多数存在する可能性が高く、液体窒素などによる凍結療法やレーザーを行っても再発の可能性が高いこと、さらにはレメディーが予想以上に有効だからです。

 最近の症例を紹介します。
 10代男性、足のイボ(尋常性疣贅)


 内服開始後2ヶ月、ほぼ完全に消失しています。実は足底にもイボがありましたが同様に消失しています。


本当に良く効きます。他にも1ヶ月の内服で手のイボが消えた方もいます。
治療終了した方と内服中の方、含めてやっと10名を越えたところですが、近日中に全体の成績を報告します。  

Posted by Dr.Ken at 23:59Comments(2)しこり

2010年07月21日

◆自己紹介

として、遅まきながら、2006年当時、県立那覇病院在籍中に沖縄県医師会雑誌へ投稿した随筆の全文を紹介します。

「戌年に因んで」

県立那覇病院形成外科
新城 憲

 「戌年に因んで」の原稿依頼を受け、すでに4廻りもの人生、半世紀弱の年月を生きてきたのだと、改めて思った。これからあと何廻りできるかわからないが、最近、頓に感じるようになった記憶の修飾現象に冒される前に、生まれ年の節目節目を中心に、「半生」を振り返るにはいい機会と思い、筆を執ることにした。

1958年(昭和33年)
 山原(沖縄本島北部地域)で5人兄弟の三番目、長男として生まれる。

1970年(昭和45年)小学6年
 不思議なもので、そのころの記憶が最も新鮮に残っている。はっきりと映像とリンクして蘇ってくる。裏山で、木の上に小屋を造って探検隊を気取ったこと、たき火をして危うく山火事になりそうになったとき、なぜか両親がかぎつけて山肌を駆け上り消してくれたこと、その後、お仕置きで柱に縛られたこと、大好きだった馬にえさをやろうとして、頭を噛まれたこと、前腕を骨折して、小さな医院で無麻酔で大人二人に腕を引っ張られ整復されたときの激しい痛み。また、パイナップルを家族皆で収穫し、松の木陰で昼食を摂ったこと、ささやかながら最も楽しかった思い出である。嗅覚の記憶も、映像と結びつき鮮明である。豊かな香りを放つ夜香花の咲く庭先で楽しんだ夏の夕方の水浴び、甘酸っぱい香りの山桃と薄暗い山林の中、などなど。

1982年(昭和57年)大学4年
 学生生活の佳境。妻との出会い。初めてのデートで、待ち合わせ場所に佇む姿が一枚の写真のように脳裏にインプットされている、ブラウスの柄、スカートの色まで。大学入学前、普段は何一つ私の行動に注文を付けない親父が、空港まで送る途中に一言、「頼むから嫁さんは内地から連れてこないでくれ」。運命の出会いのまえに、その言葉は意味を成さなかった。その後、卒業と同時に沖縄に戻ったが、親父は何も言わずに、優しく妻を迎え入れてくれた。

1994年(平成6年)36歳
 医師となって十年が経過して、初期研修医として過ごした中部病院に形成外科医として戻ることになった。素晴らしい同僚と環境を得て、これが天職というものなのだと思える、充実した10年間を過ごした。2004年、形成外科開設を機に那覇病院に異動した。折しも、医学部卒後20年の節目であった。

2006年(平成18年)48歳
 新年、5回目の年男、いよいよ新病院への移転である。
電子カルテの導入、24時間救命救急センター・総合母子医療センター(こども病院)開設、中部病院並の卒後臨床研修の充実と、準備怠りなしといっても、どうなるかわからない大きな波が押し寄せてくる。試練ではあるが、望んでも誰もが経験できない幸運と思って臨みたい。

 振り返ってみると、図らずも、生まれ年に、そのときそのときの大きな転換点が訪れていることに気付いた。幸いまだ余力を残している、これからの一廻りを、次の「還暦」と呼ばれる人生二度目のスタートラインに向けた、助走路として意義あるものにしたい。


最後までお読み下さりありがとうございます。
還暦まであと9年、ワクワク・ドキドキの日々を実践中です。  

Posted by Dr.Ken at 23:59Comments(0)Kenのつぶやき

2010年07月20日

◆しこり(35)

が将来、発生するかも知れない皮膚病変のひとつに脂腺母斑があります。

 発生部位としてよく見られるのは、頭部です。生まれつき頭部に毛のない部分があって、成長とともに褐色調を呈しわずかに盛り上がってきたら脂腺母斑と思って間違いありません。

 成人以後に、母斑の内部にしこりが生じてくることがあります。頻度は低いのものの皮膚がんができることがあるので、低年齢でも手術をおすすめしています。

 詳しくは、日本形成外科学会のHPをご覧下さい。

 写真は5歳の男児です。表面がややでこぼこした褐色調の病変で、典型的な脂腺母斑です。


 頭部の脂腺母斑を治療する上で大切なのは、キズ跡をいかに目立たなくするかです。切り取った後にあえて直接閉じずに、毛の流れ、伸びる方向を考えながら、周囲の皮膚を移動させて縫いました(Z形成術の応用)。私は、手術の時、毛剃りをしません。


 術後、3ヶ月、キズ跡はありますが、毛の流れでうまく隠されてほとんどわかりません。
  

Posted by Dr.Ken at 23:29Comments(0)しこり

2010年07月19日

◆しこり(34)

に関連して、7月18日に第7回日本血管腫・血管奇形研究会に参加してきました。

 愛媛県、松山市で開催され、参加者は110名余と学会としては小規模です。

 血管腫・血管奇形については、しこり(4)(5)(9)でも紹介しています。

 血管腫・血管奇形は悪性の疾患ではありませんが、放っておくと生命に関わるほど重篤な状態になることがあり、あらゆる教科書にも載ってないような治療が非常に困難な症例が存在します。もちろん、形成外科医、誰もが頭を悩ますような症例は、決して多いわけではありません。

 こうした治療が困難な症例を持ち寄って、参加者が経験と智慧を出し合うのが、この研究会の大きな目的で、他の学会以上に真剣かつ熱い議論が印象的でした。

 結果が良かった治療・手術法はもちろん、逆にうまくいかなかった事例も報告され、どれも有意義でしたが、特に注目したのは、いわゆるイチゴ状血管腫に対する新治療法でした。

 本来は、高血圧の治療に使うプロプラノロールと言う薬を、顔面に大きな血管腫がある幼児に使用したところ、劇的に改善したとの報告でした。2008年に昨日も紹介した世界的に最も権威のある雑誌、New England Journal of Medicine(略してNEJM)に最初にレポートされ、2009年に追加報告もされています。

NEJMより引用

写真左上:生後9週時、ステロイド剤内服後4週目、プロプラノロール内服前
写真右上:生後10週時、ステロイド剤減量中、プロプラノロール内服開始後1週間
写真左下:生後6ヶ月時、プロプラノロール内服継続中、ステロイド剤は2ヶ月前に中止
写真右下:生後9ヶ月時、プロプラノロール内服中止直後

劇的な改善です。  

Posted by Dr.Ken at 22:54Comments(0)しこり

2010年07月18日

◆男性の更年期障害

とは?、という論文が、世界的に最も権威のある雑誌、New England Journal of Medicine(略してNEJM)に載っていました。

 加齢によるテストステロン(男性ホルモン)レベルの低下が、どのような症状をもたらすかについて調べた研究報告です。

 これまで中高年男性のテストステロン欠乏症の実態は明らかでなく、症状のない一般中高年男性のテストステロン値に関する情報もほとんどない状態でした。テストステロンがどのレベルまで減少すると症状が現れるのかも不明だったわけです。

 そこで研究者らは、一般中高年男性を対象に、テストステロン低値に関連する症状を分析し、症状とテストステロン値の関係に基づくより明確な遅発性性腺機能低下症(男性の更年期障害)の定義を確立しようと考えたわけです。

 総テストステロン値または遊離テストステロン値との関係を評価したところ、以下に挙げる9つの症状について、症状ありグループとなしグループの測定値の間に有意差が見られました。

性的な3症状(早朝勃起の減少、性欲減退、勃起不全)
身体的な3症状(ランニング、重い物を持ち上げる、激しいスポーツに参加するなどの精力的な活動が困難、1km超の歩行が困難、膝や腰を曲げることが困難)
心理的な3症状(元気がない、落ち込み、疲労感)

 多重対応分析により、その中でも、特にテストステロン値の低下と密接な関係を持つ症状は、早朝勃起の減少、性欲減退、勃起不全という性的な3症状のみであることが示されました。

 著者らは、これら3つの性的な症状が有意に増加する閾値として、総テストステロン値は3.2ng/mL未満、遊離テストステロン値は64pg/mL未満を設定、「テストステロン値がこれらの値より低く、少なくとも3つの性的な症状がある」という条件を、遅発性性腺機能低下症の診断の最低条件と判断しました。

 難しい話になりましたが、要は「男性の更年期障害」も存在し、キチッと評価・診断すれば、テストステロンを補充することで治療がが可能ということです。  

Posted by Dr.Ken at 08:08Comments(0)Kenのつぶやき

2010年07月17日

◆「最後の晩餐」

に見る食事量の変遷、という記事を見つけました。
全文を紹介します。


 飽食の時代へと向かう危険信号が絵画にも早期に現れていた可能性がある。過去1,000年の間に、キリストの最後の食事を描いた「最後の晩餐(The Last Supper)」の料理の分量が増え、大皿になってきているという。
 
 芸術作品にみられるこの変化は、この1,000年で人々の食事量が徐々に増えていることを示すものであり、過食をさらに助長する現象とも考えられると、米コーネル大学(ニューヨーク州)食品ブランド研究所長のBrian Wansink氏は述べている。

 Wansink氏らは、「最後の晩餐」を描いた有名な絵画52点を対象に、描かれている料理、パン、皿の大きさを人物の頭部の平均サイズと比較し、分析した。その結果、1,000年間で料理および皿の大きさがともに約3分の2増えており、パンも約23%大きくなっていたという。絵画に描かれた物のサイズ測定にはコンピューター技術を利用。この報告は、医学誌「International Journal of Obesity(肥満)」オンライン版に3月23日掲載された。

 「この1,000年で食品の生産性、利用性、安全性、豊富さが劇的に向上し、価格も手ごろになっている。芸術は生活を模したものであるため、このような変化が歴史上最も有名な夕食を描く絵画にも反映されてきたと考えられる」とWansink氏は述べている。


 日本経済新聞のweb刊を、この4月から購読していますが、ご存じのように、質・量とも申し分なく、好きなときに読めるため満足しています。GOOD  

Posted by Dr.Ken at 08:16Comments(0)Kenのつぶやき

2010年07月16日

◆国際学会(4)

では、もう一つまたとない機会が用意されていることがあります。
 
一般の方は、びっくりされるかも知れませんが、死体が提供されて詳しく解剖することができるのです。これは米国での学会に限られるのかも知れません。また、学会参加費とは別途支払いが必要です。本来の学会の前後に、特別メニュー的に設定されています。

 2000年にダラスで、その「特別メニュー」に参加したときは、何とホテルの地下の大広間に40以上のテーブルが並べられ、その上に死体の頭部だけが乗っていました。2名一組で一個の頭部を解剖しましたが、私と一緒の先生は、以前にも参加したことがあるらしく、スタートと同時に手際よく皮膚を剥がしていました。与えられた4時間ではとても、すべてのポイントを確認できません。

手術する上で、解剖の知識は、旅行するときの地図のようなもので、正確な解剖の知識なしで正確な手術はできません。顔面は、神経血管、筋肉はもとより重要な組織が集中した「精密機械」のような構造なので、とても4時間で分解を終えることはできません。それこそお持ち帰りで、何日もかけて復習したいほどです。

 一流ホテルの一室で、こういうことができるのは、いかにも合理主義の米国だと思いましたが、さすがに何らかのクレームがあったのか、翌年からは大学に解剖実習の場所が移されました。

 44個の頭部が並ぶ様子は、異様というか、ある意味壮観です。
  

Posted by Dr.Ken at 20:00Comments(0)Kenのつぶやき

2010年07月15日

◆国際学会(3)

では、世界各地からその道の名手が集まり、最新技術・知見について報告します。併せて各分野の、その時点でのまとめ的なレクチャーが、数多く組まれ、集中して学ぶことができます。OK

 形成外科、美容外科の領域では、身体のパーツ毎にセクションが分かれてプログラムが作られています。たとえば顔面で言えば、まぶた、鼻、顔・首のたるみの治療を得意とする先生が、自分の業績を集大成して会員に伝授してくれるのです。

 学会によっては、会場と手術室を結んで手術の実況中継が行われることがあります。手術の細かなノウハウを学ぶ上で貴重な機会です。手術中の術者に、学会場から質問することもできます。

2000年、ダラスでのシンポジウムでは、2つの手術場から中継され、大きなスクリーン2面で見ることができました、写真は、その様子で、左が顔面への脂肪注入、右が鼻形成術です。


長いときは、1日で合計8時間にわたって続くことがあります。英語で理解しようとするわけですから、不完全燃焼も手伝い、終わる頃は頭の中もオーバーヒートしそうになります。ガ-ン  

Posted by Dr.Ken at 17:22Comments(0)Kenのつぶやき

2010年07月14日

◆世界の美容外科医3

の紹介、久々の3人目です。

 今回は、鼻形成術の名手、Dr. Gunterを紹介します。2000年に米国テキサス州ダラスでの美容外科シンポジウムに参加した際にお会いしました。


 当時60歳を越えていたと思うのですが、精悍な顔つきでいかにも外科医といった感じでした。同シンポジウムでは、ライブサージャリーで手術室と学会場を結び、鼻形成術を披露していました。

 鼻形成術に精通し、とくに有名なのは「Gunter Graphic」と呼ばれる手術の詳細を記した図です。鼻のどこを、どう手を加えて手術したのか一目瞭然です。

「Gunter Graphic」の一例を示します。
  

Posted by Dr.Ken at 23:37Comments(0)美容外科エピソード

2010年07月13日

◆しこり(33)

を、まぶたの部分に触れたときは、眼窩(がんか:眼球を容れた骨でできた部屋)由来のしこりも考えなくてはなりません。

 次の写真は中年女性の下まぶたのしこりです。ぱっと見では、反対側に比べるとわずかに盛り上がっているように思えました。良く動く、境界がはっきりした硬いしこりを明らかに触れました。
 MRI検査も行い血管性のしこりと判断し手術しました。


 しこりはころっとしていて、見た目は暗紫色で、いかにも血管腫といった感じです。


成人の眼窩内腫瘍で、最も頻度が高い良性腫瘍は,髄膜腫,粘液嚢胞,海綿状血管腫と言われています。髄膜腫は,蝶形骨翼から生じることが多く、粘液嚢胞は,篩骨洞または前頭洞から生じることが多いようです。  

Posted by Dr.Ken at 23:33Comments(0)しこり

2010年07月12日

◆ホーリースモークス

(Holy smokes)の意味をご存じですか。

 昨日に引き続き、外来で学んだ言葉の紹介です。

 先日、ある女性のタミータック(腹壁形成術、以前のブログ参照)を行った翌日の外来で、ご主人が奥さんのすっきりしたお腹を見て発した言葉です。
 
 ネットで調べると、その意味をとても分かり易く説明した映画関係のサイトウェブ辞書がありました。

 要は、「うわー!」「ワオ!」「すごい!」などの“感嘆詞”の様です。他にも、同じ状況で、同じ意味で使われる言葉として、Holy cow, Holy Christ, Oh my goodnessなどがありますが、まだまだ他にもあると思います。

 一般に米国人は感情表現が実に上手で、表情や言葉にそのことが良く表れます。言うまでもなく、うまくコミュニケーションを取ることは、医療者と患者間のしっかりした信頼関係を築く上でとても重要です。ましてや、言葉の壁がある外国人を相手にする場合は、教科書では学べない、これらの言葉に精通することが相手の心をつかむ近道でもあります。


なるほど感情表現がはっきりしています。(笑)  

Posted by Dr.Ken at 19:54Comments(0)実践英語KC編

2010年07月11日

◆マフィントップ

(Muffin top)とは、なんの意味かご存じですか。

 本日の外来で「この“Muffin top”をなくしたい」と希望する方が来られました。

 早速、ネットで調べると、その意味をとても分かり易く説明した写真がありました。


 なるほど、マフィンの上部のように服からはみ出した余分な脂肪を、そのように表現しているわけです。

 その方は、ズボンからはみ出した腰回りの脂肪吸引を希望されていたわけです。超音波検査で脂肪の厚みを計測して、脂肪吸引が可能なことを説明すると、納得した様子で近日中の手術を予定して部屋を出て行きました。

 今日も、“生きた”英語を学ばせてもらいました。これでまたコミニュケーションスキルが上がります。  

Posted by Dr.Ken at 22:18Comments(0)実践英語KC編

2010年07月09日

◆那覇市役所新築現場定点観察7

を久々に更新します。

 いよいよ、工事開始です。

 昨日、起工式がありました。大きなテントが9個も張られ、盛大だったようです。



平成24年9月完成予定です。新築工事に関しての情報はこちらをご覧下さい。  

2010年07月08日

◆国際学会(2)

での発表は、ほとんどが英語です。

 私も英語で予行演習通り発表し、滞りなく済ませました。演題は、咽頭がん術後の欠損を腸管移植で再建する方法についてでしたが、会場から質問もありました。応答には窮しましたが、やはり自分の発表に反響があるのは嬉しいものです。

暗くて分かりづらいですが発表中の私です。


 学会、特に国際学会での楽しみのひとつは、普段は雲の上にいるような偉い先生方と対等に議論し、教科書には書かれてない手技上のノウハウを直接聞けることです。懇親会で一杯入ると、さらに会話が弾みます。

参加者との一コマ。日本人は3名です。左から2人目は、台湾の先生でマイクロサージャリーの世界的権威、同3人目は私の恩師、大塚先生、同4人目は現東大形成外科教授。


 次いでにもう一つ、学会の楽しみは当地の名物料理が味わえることです。
でも、このときはなぜか、マイクロサージャリーの大先輩に日本料理店に連れて行かれましたが・・・。あかんべー

 写真はトロントでの一コマ。人種のるつぼだけあって、世界各地の料理を楽しめます。同行の石田先生の希望でメキシコ料理をいただきました。
  

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2010年07月07日

◆国際学会(1)

で初めて発表したのは1996年、カナダのモントリオールでした。

 参加したのは、マイクロサージャリーと呼ばれる顕微鏡を使った再建外科についての学会で、世界中からその道の権威の先生方が集まってきます。
 
 学会プログラムの表紙です。


 14年前のことではありますが、不思議なくらい行程を良く覚えています。当時、県立中部病院に勤務していましたので、同僚の石田先生と一緒に参加しました。モントリオールに入る前に、トロントで一泊し、ナイアガラの滝も訪れました。間近で見る滝の迫力に息をのみました。


 ご存じの様に、モントリオールはカナダ第2の都市ですがフランスの影響が強く残り、住民の多くがフランス語を第1言語にしています。街並みもヨーロッパ調で「北米のパリ」とも呼ばれています。学会の合間に、当地の有名どころを回るのも楽しみのひとつですが、特に印象に残っているのは、モントリオール植物園のバラ園、カナダ最古のマギル大学、オリンピック・スタジアムでの当時の大リーグチーム、モントリオールエクスポズの試合観戦です。
 
 もちろん、観光だけに行っているわけではありません。学会にもちゃんと出席しています。この学会では、海外の参加者のためにプログラムの中に観光の時間を確保していました。誤解なきよう(笑)。
 
 学会については、次回を乞うご期待。  

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2010年07月06日

◆da Vinci

とは、内視鏡下手術で使う手術支援ロボットの名前、つまり商品名です。

 鉗子やはさみなどの器具操作の指示を出す操作ユニットと、実際に鉗子類やカメラを備えた機体ユニットからなり、術者が操作した通りの動きをロボットが再現し、手術が行われます。低侵襲かつ安全な手術を支援するその実力に、今、外科医の関心が高まっています。主に、一般消化器外科、胸部外科(心臓外科を除く)、泌尿器科、婦人科で使用されていますが、特に泌尿器科の前立腺摘除術に至っては、米国では既に85%以上の手術がda Vinciにより行われているとのことです。

(日経メディカルオンラインより)

 すでに使用経験のある日本人医師は、「da Vinciは操作に慣れれば、細かい複雑な処置でもできるようになる。操作練習も可能で、術者の負担は小さい」、また、「da Vinciが普及すれば、医師の手術手技が高い水準で平準化できる」と話しています。

 初めて国内で使用されたのは10年前で、今年になってやっと国内発売となりました。普及のハードルとなるのは、機器や消耗品にかかる費用です。da Vinci本体の価格は3億円。このほかに年間約2500万円の保守サポート費用が必要になります。
 
 日本ではようやくロボット手術が医療技術として評価されはじめてきましたたが、既に海外ではロボット手術が主流の領域もあり、今後、日本でもロボット手術がスタンダードになる可能性は十分あると思われます。  

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2010年07月05日

◆10年ぶりの再会

と言うと大袈裟ですが、言葉通りの出来事がありました。

 久々の休日となり、今日の予定を頭の中で練りながら日傘をさして国際通りのス○バに出かけました。いつものようにホットのブラックコーヒーを飲みながら、いつになく順調に依頼原稿が予定の部分まで仕上がりました。後は、友人のクリニックに寄って薬品を受け取り、整体院で職業病の頚部痛をケアしてもらおうと考えました。
 
 時計を見るとまだお昼前です。ふと10年前まで住んでいた首里在のマンション隣にあった椿食堂に行きたくなりました。

 ゆいレール儀保駅で下車し、そこから炎天下を徒歩で向かいました。激しく降り注ぐ紫外線シャワーを、目的地まで直接浴び続けていたらきっと熱射病になっていたでしょう。日傘を持ってきて良かったと心から思いました。

 いよいよ到着、するとまだ看板が残っているではありませんか、当時と全く一緒です。丁度昼時でお客さんも数人いました。メニューも値段も変わっていません。注文するために、厨房に声をかけると10年前と少しも変わらない、血色の良い穏やかな表情の女性が顔を見せてくれました。

 一瞬、私の顔に見覚えがあるような表情をされましたが、敢えて声はかけませんでした。ほどよい量で、変わらぬ味の「やさいおかず」をいただきました。ついでにぜんざいも注文しようと思いましたが、お一人で一切合切をこなす姿に、声を飲み込みました。

 支払いをする際に、再度、目を合わすと「新城先生ですか」と声をかけてくれました。手短に自分の現状を伝え、食堂を後にしました。当時と変わらぬ、おばさんの優しい表情の中に、一気に10年前の出来事がフラッシュバックしてきました。

 16年前、食堂隣のマンションに引っ越してきたときの様子です。
 

追記:同居人から厳重注意を受けました。
「もっと良い写真があるでしょ!」
よってほぼ同時期の写真を追加します。
  

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2010年07月04日

◆キズあと

をできるだけ目立たなくしたいのが形成外科医の本能です。

 交通事故、火傷、手術などのあとにできたキズあとを目立たなくするために、あの手この手で治療します。一方、何かのできものを切り取る場合には、1ミリでも小さな長さで切開し、できるだけキズを傷めないように操作して、痕になりにくい細い糸でキズを縫って行きます。
 今から10年ほど前に、ある新聞の写真を見て、思わず絶句しました。何と「目立つ」キズあとだろう。


 写真の人は、当時のプロ野球で日本一の救援投手と自他共に認めた佐々木投手です。尺骨神経の圧迫を取り除くために骨を削る手術をした後の記者会見の様子です。
 これほどの大投手ですから、きっと執刀医もその道の権威の方なのでしょう。佐々木投手も、そのキズあとを勲章のように指さしています。私が外科医の道を歩み出した頃は、先輩外科医から「大きなキズあとは偉大な外科医の証」だと言わんばかりの教育を受けました。

 例えば、お腹の中のできものをキチッと切り取っても、最後に巨大なムカデの様なキズあとを残したら、毎日そのキズあとを見ながら生活する患者さんが気持ちいいはずはありません。

 今の時代は、「大きなキズあとは偉大な外科医の証」だとはいきません。有能な外科医は、より小さく、より綺麗なキズあとを残すものだと一般の方の意識も変わりつつあります。  

Posted by Dr.Ken at 23:13Comments(0)Kenのつぶやき

2010年07月03日

◆しこり(32)

の中で、まぶたにできるものはいくつか紹介しました。

 中でも、最もよく見られるのは。いわゆる「ものもらい」と呼ばれるしこりです。おそらく、だれでも一度は、「ものもらい」を経験したことがあるのではないでしょうか。

 一般に「ものもらい」というと急に赤く腫れて、痛みを伴う状態をイメージすると思います。それは「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」という呼び、まぶたにあるマイボーム腺または脂腺の細菌性感染です。抗生薬の内服で、ほとんどの場合治りますが、進行すると切開して膿を外に出す必要があります。

 もう一つ「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」と呼ばれるしこりもあります。マイボーム腺の出口が何らかの理由でつまり細菌感染を伴なわない、わずかに赤みのあるしこりとして気づかれます。痛みなどの症状も少ないため、長期間にわたり放置されることも多く、見た目の問題で受診する方が多いようです。治療は、切開して黄色くどろっとした内容物をできるだけ取り除きます。

 10代の女性、麦粒腫です。
  

Posted by Dr.Ken at 21:41Comments(0)しこり

2010年07月02日

◆しこり(31)

シリーズ、久々です。

 まずは次の写真をご覧下さい。
 60歳代の女性です。背中の違和感を訴えて来院されました。
 何か、異常はありますか。
 

 次に、肩甲骨を外側に移動するように両腕を前方に動かしてもらいました。そうすると次の写真で、点で囲んだ部分がわずかに盛り上がっているのがお分かり頂けると思います。

 そのあと、CT検査も行い弾性線維腫と診断しました。

 背部の弾性線維腫はおもに肩甲骨の下面,広背筋,前鋸筋と胸壁の間に発生し,弾力性のある硬いしこりとして触れ,ガチョウの卵大にも達することがあります.多くの場合、症状はなく,大きくなると疼痛が出てきたり、肩を拳げる時に「コリ、コリ」弾発音を生ずることがあります.悪性化することはありません、遺伝,体質的素因に機械的刺激が加わって発症すると考えらています。日本人での発症が多く、特に、圧倒的に沖縄,鹿児島,九州地方に多く,関東,特に東北地方ではまれです.  

Posted by Dr.Ken at 22:41Comments(0)しこり