2010年03月31日
◆しこり(3)
は、身体のどの部位にできてもおかしくないと話しましたが、特に手指のできもので特徴的なのは、腱鞘巨細胞腫と呼ばれる病変です。難しい病名ですが、良性の腫瘍で手指にできるできものの中でも、決して稀なしこりではありません。
例によって、痛みやしびれなどの症状がほとんどないため、かなり大きくなってから、来院される方が多いようです。しかし、部位的に重要な血管・神経・腱がありますので、できるだけ小さいときに切除した方が、術後の後遺症が少なくて済むのは、言うまでもありません。
環指腱鞘巨細胞腫


術後1週間
例によって、痛みやしびれなどの症状がほとんどないため、かなり大きくなってから、来院される方が多いようです。しかし、部位的に重要な血管・神経・腱がありますので、できるだけ小さいときに切除した方が、術後の後遺症が少なくて済むのは、言うまでもありません。
環指腱鞘巨細胞腫


術後1週間
2010年03月30日
◆しこり(2)
は、身体のどの部位にできても不思議ではありません。
ほとんどのしこりは痛みや違和感などがないため、その存在に気付いてもそのまま放置している方が多いと思います。薬などで小さくすることができるしこり(ぐりぐり)は、リンパ節炎などごく少数です。しこりの大部分は良性のできものではありますが、徐々にではあっても、ほとんどのものが大きくなっていきます。そのため、心配しながら経過を見るより、また、小さいうちに切り取ったほうがキズ跡も最小限で済むため、私は、早めの治療をおすすめしています。
しこりはどの部位にできてもおかしくないと話しましたが、部位毎にできものの特徴はあります。例えば額には脂肪腫や外骨腫(骨のできもの)、生まれつきのものであれば皮様のう腫ができやすいですし、顔や腕には石灰化上皮腫というしこりが生じやすいと言われています。
大体が診察と画像検査で診断を下すことは可能ですが、切り取って直接しこりみても診断が難しい時は、病理検査(顕微鏡で細胞を見る)に提出します。
似て非なる額のできもの
外骨腫

脂肪腫

皮様のう腫
ほとんどのしこりは痛みや違和感などがないため、その存在に気付いてもそのまま放置している方が多いと思います。薬などで小さくすることができるしこり(ぐりぐり)は、リンパ節炎などごく少数です。しこりの大部分は良性のできものではありますが、徐々にではあっても、ほとんどのものが大きくなっていきます。そのため、心配しながら経過を見るより、また、小さいうちに切り取ったほうがキズ跡も最小限で済むため、私は、早めの治療をおすすめしています。
しこりはどの部位にできてもおかしくないと話しましたが、部位毎にできものの特徴はあります。例えば額には脂肪腫や外骨腫(骨のできもの)、生まれつきのものであれば皮様のう腫ができやすいですし、顔や腕には石灰化上皮腫というしこりが生じやすいと言われています。
大体が診察と画像検査で診断を下すことは可能ですが、切り取って直接しこりみても診断が難しい時は、病理検査(顕微鏡で細胞を見る)に提出します。
似て非なる額のできもの
外骨腫

脂肪腫

皮様のう腫
2010年03月27日
◆しこり
を訴えて来院される方の中で、多いのは以前にも紹介した、“粉瘤”と“脂肪腫”です。
“脂肪腫”は、痛みなどの症状がほとんどなく、比較的ゆっくり増大するため、かなり大きくなってから来院される方も、珍しくありません。
診察と画像検査で、“脂肪腫”の臨床診断を下すことは、難しくありません。良性腫瘍ですが、放置すると徐々に大きくなるわけですから基本的には、切除するように、おすすめしています。
しこりをキチッと取り除くことは、もちろん大切ですが、できるだけ小さなキズできれいに治すことは、形成外科医としては、ある意味、最優先事項です。
例えば直径13cmの脂肪腫を5cmの皮膚切開から取り除くには、どのようにすれば良いでしょう。そこで、創意工夫を駆使して手術に臨むことになります。
直径13cmの脂肪腫

5cmの切開から取り出しました。どのようにしたのでしょう。

1年後、小さなキズの名残を残すのみです。

やればできます。
“脂肪腫”は、痛みなどの症状がほとんどなく、比較的ゆっくり増大するため、かなり大きくなってから来院される方も、珍しくありません。
診察と画像検査で、“脂肪腫”の臨床診断を下すことは、難しくありません。良性腫瘍ですが、放置すると徐々に大きくなるわけですから基本的には、切除するように、おすすめしています。
しこりをキチッと取り除くことは、もちろん大切ですが、できるだけ小さなキズできれいに治すことは、形成外科医としては、ある意味、最優先事項です。
例えば直径13cmの脂肪腫を5cmの皮膚切開から取り除くには、どのようにすれば良いでしょう。そこで、創意工夫を駆使して手術に臨むことになります。
直径13cmの脂肪腫

5cmの切開から取り出しました。どのようにしたのでしょう。

1年後、小さなキズの名残を残すのみです。

やればできます。
2010年03月25日
◆浅田真央
さんには、お姉さんがいて、真央さん同様フィギュアスケーターであることは皆さんよくご存じだと思います。
姉妹だけあって、表情もよく似ていると思いますが、次の写真・イラストを見て明らかに違う部分はどこだと思いますか。


眉の形は処理の仕方で違いが出ても不思議ではありませんが、眉毛とまつげの距離、目(眼瞼)の開き具合が明らかに違います。
なぜ、顔がよく似た姉妹で、このような違いがあるのでしょう。
実は、真央さんには眼瞼下垂(がんけんかすい)があると、私は思います。
次に挙げる症状があれば、まぶたに起因する眼瞼下垂の可能性があります。
真央さんの眼瞼下垂が治ると、きっと4回転も軽々と跳べるようになるでしょう。
なぜか、その理由は、以前の私のブログか、下記HPをご覧になってご想像下さい。
姉妹だけあって、表情もよく似ていると思いますが、次の写真・イラストを見て明らかに違う部分はどこだと思いますか。


眉の形は処理の仕方で違いが出ても不思議ではありませんが、眉毛とまつげの距離、目(眼瞼)の開き具合が明らかに違います。
なぜ、顔がよく似た姉妹で、このような違いがあるのでしょう。
実は、真央さんには眼瞼下垂(がんけんかすい)があると、私は思います。
次に挙げる症状があれば、まぶたに起因する眼瞼下垂の可能性があります。
1. いつも眠そうな顔だと言われる
2. 目を開けると額に皺がよる
3. まぶたが重く感じ、たるんでいる
4. ふたえの幅が以前より広がってきた。または、ふたえの線がいくつもある
5. 目が落ちくぼんできた
6. 眉毛とまつげの間が離れている、または離れてきた
7. 以前の写真に比べて眼が小さくなった
8. 目の大きさに左右差がある。運転中に信号を見上げるのがつらい
9. 写真撮影で「あごを引いて」と言われる
真央さんの眼瞼下垂が治ると、きっと4回転も軽々と跳べるようになるでしょう。
なぜか、その理由は、以前の私のブログか、下記HPをご覧になってご想像下さい。
私の友人である手塚医師が勤務する松山市民病院形成外科のページ
日本形成外科学会のページ
私が2008年6月に沖縄タイムスに掲載した記事
2010年03月22日
◆壁を越える(2)
ことで、私が成長してきたこと、具体的には困難な手術をやり遂げることで形成外科医としてステップアップしてきたことを以前のブログで紹介しました。
開業後も、大小の壁を越えて美容外科医としても自分が成長しているのを日々実感しています。
先日、4月から大学へ進学予定の女性の鼻の手術を行いました。
鼻の形を整えるいわゆる整鼻術は、欧米ではポピュラーな手術です。しかし、職人芸と言ってもいいほど美容外科の中でも、難易度の高い手術です(12月13日のブログ参照)。
手術の目標は側面で鼻を真っ直ぐにすること、垂れ下がった鼻先の向きを変えることです。具体的には、鼻の形を支える骨と軟骨を適度に丁寧に削り、鼻先の軟骨を縫い合わせて形を整え、必要に応じて軟骨を移植していくことになります。ただ、壁を乗り越えるには、技術的なことばかり考えればいいのではありません。麻酔をどのように行うか、皮膚切開をどのように行うかはもちろん、消毒・布がけの仕方、道具の準備など、手術の周辺にも課題はあるのです。
結果的に手術は成功し、麻酔からほぼ覚めたころ、回復室のドアを開けると彼女は右手を挙げて、笑顔で感謝の気持ちを伝えてくれました。
術前

術後1週間

最後の壁を越えた先に何があるのか。今の私には分かりません。形成外科、美容外科の手術は、どんなに数をこなしても全く同じ手術というのはありません。同じ手術名でも、個々の手術は微妙に異なるので毎回新しいことに取り組む気持ちで臨んでいます。メスを握り続ける限り、壁は、私の前に立ちはだかり続けるでしょう。
今の仕事は天から授かった職、“天職”だと、私は信じています。しかし、天から授かった能力は、どんな手術でもできる能力ではなく、どんな“壁”にも挑戦する意志、“壁”を乗り越えることに喜びを覚える心、を保ち続ける能力だと思っています。
昔、ある登山家が「なぜ山の登るのか」と問われたとき、「そこに山があるから」と答えたのは、有名な話です。
僭越ながら、私も「なぜ“壁”を越えたいのか」と問われたら、きっと「そこに“壁”があるから」と答えるでしょう。
開業後も、大小の壁を越えて美容外科医としても自分が成長しているのを日々実感しています。
先日、4月から大学へ進学予定の女性の鼻の手術を行いました。
鼻の形を整えるいわゆる整鼻術は、欧米ではポピュラーな手術です。しかし、職人芸と言ってもいいほど美容外科の中でも、難易度の高い手術です(12月13日のブログ参照)。
手術の目標は側面で鼻を真っ直ぐにすること、垂れ下がった鼻先の向きを変えることです。具体的には、鼻の形を支える骨と軟骨を適度に丁寧に削り、鼻先の軟骨を縫い合わせて形を整え、必要に応じて軟骨を移植していくことになります。ただ、壁を乗り越えるには、技術的なことばかり考えればいいのではありません。麻酔をどのように行うか、皮膚切開をどのように行うかはもちろん、消毒・布がけの仕方、道具の準備など、手術の周辺にも課題はあるのです。
結果的に手術は成功し、麻酔からほぼ覚めたころ、回復室のドアを開けると彼女は右手を挙げて、笑顔で感謝の気持ちを伝えてくれました。
術前

術後1週間

最後の壁を越えた先に何があるのか。今の私には分かりません。形成外科、美容外科の手術は、どんなに数をこなしても全く同じ手術というのはありません。同じ手術名でも、個々の手術は微妙に異なるので毎回新しいことに取り組む気持ちで臨んでいます。メスを握り続ける限り、壁は、私の前に立ちはだかり続けるでしょう。
今の仕事は天から授かった職、“天職”だと、私は信じています。しかし、天から授かった能力は、どんな手術でもできる能力ではなく、どんな“壁”にも挑戦する意志、“壁”を乗り越えることに喜びを覚える心、を保ち続ける能力だと思っています。
昔、ある登山家が「なぜ山の登るのか」と問われたとき、「そこに山があるから」と答えたのは、有名な話です。
僭越ながら、私も「なぜ“壁”を越えたいのか」と問われたら、きっと「そこに“壁”があるから」と答えるでしょう。
2010年03月20日
◆肝斑、その後
の治療経過を報告します。
1月にQスイッチヤグレーザー『MedLite C6』を導入後、肝斑に対するレーザートーニングを始めました。週1回計10回の治療が目標です。
導入後すぐに治療を始めて、すでに8回の照射を終了した方(Cさん)が来院されました。肝斑は、以前に紹介したときよりさらに改善、というより大部分が消失し、トーンも生まれ変わった肌のように明るくなっていました。比較的、反応が悪かった前額も改善し、驚くほどです。
『MedLite C6』のレーザートーニング、恐るべし
先週、月1回の全体会議があり、その中で最近のワオ・ストーリー、つまり皆で共有したいうれしい出来事をスタッフの一人一人に話してもらいました。その中で、あるスタッフからCさんの話題が出ました。「毎週毎週、来院の度に肌が綺麗になっていくので、喜びの様子が表情や言葉の端々に感じられ自分まで嬉しくなります。」と伝えてくれました。
写真を見れば、その気持ちがお分かり頂けると思います。
治療開始前、2010/1/23

レーザートーニング8回終了後、2010/3/20
1月にQスイッチヤグレーザー『MedLite C6』を導入後、肝斑に対するレーザートーニングを始めました。週1回計10回の治療が目標です。
導入後すぐに治療を始めて、すでに8回の照射を終了した方(Cさん)が来院されました。肝斑は、以前に紹介したときよりさらに改善、というより大部分が消失し、トーンも生まれ変わった肌のように明るくなっていました。比較的、反応が悪かった前額も改善し、驚くほどです。
『MedLite C6』のレーザートーニング、恐るべし
先週、月1回の全体会議があり、その中で最近のワオ・ストーリー、つまり皆で共有したいうれしい出来事をスタッフの一人一人に話してもらいました。その中で、あるスタッフからCさんの話題が出ました。「毎週毎週、来院の度に肌が綺麗になっていくので、喜びの様子が表情や言葉の端々に感じられ自分まで嬉しくなります。」と伝えてくれました。
写真を見れば、その気持ちがお分かり頂けると思います。
治療開始前、2010/1/23

レーザートーニング8回終了後、2010/3/20
2010年03月18日
◆那覇市役所新築現場定点観察5
いよいよ大詰めです。
もう建物の原形は残っていません。瓦礫を運び出すのみの状態です。
在りし日の姿をみると、何年も前の存在に見えるのが不思議です。
平成21年10月23日撮影

平成22年3月21日撮影
もう建物の原形は残っていません。瓦礫を運び出すのみの状態です。
在りし日の姿をみると、何年も前の存在に見えるのが不思議です。
平成21年10月23日撮影
平成22年3月21日撮影
2010年03月17日
◆選手交代
と言っても、スポーツの話ではありません。
近所に、若いご夫婦二人で切り盛りするカツ丼屋さんがあります。味はもちろん良く、お二人とも好感が持てる、心地よいお店です。二人目のお子さんができたため、最近はほとんどご主人1人で忙しくお店の中で動き回っていました。
今夕、久しぶりに訪ねたところ、なんと奥さんが1人で慌ただしくカツ丼を作っているではありませんか。次々と来店するお客さんへの対応に追われる姿を見ながら、ご主人が体調でも崩されたのか、小さいお子さんは誰が面倒を見ているのか、と思いながらいつもと変わらぬ美味しいカツ丼をいただきました。
一段落したのを見計らって、ご主人が居ない理由を聞いてみました。あるきっかけで、数週間前から時々“選手交代”しているのだと話してくれました。
奥さんが育児に専念し、ご主人が1人で店をみるようになって、それぞれに心身の負担が増え、知らず知らずの内にお互いにストレスをぶつけ合うようになってきたとのことでした。そんな中、ご主人が発熱した2人の子供を病院に連れて行くことになり、そのときの大変さが身にしみたこと、帰宅するとほとんど寝顔の子供にしか接することができない寂しさから、攻守ところを変えるアイデアが浮かんだようです。
その結果、お互いで苦労を分かち合えるようになり、相手を思いやれるようになったと、嬉しそうに話していました。丁度、その時2人の子供を抱えた、ご主人が、いつも見る緊張した表情とは別人の穏やかな笑顔で閉店間際の店内に入ってきました。
近所に、若いご夫婦二人で切り盛りするカツ丼屋さんがあります。味はもちろん良く、お二人とも好感が持てる、心地よいお店です。二人目のお子さんができたため、最近はほとんどご主人1人で忙しくお店の中で動き回っていました。
今夕、久しぶりに訪ねたところ、なんと奥さんが1人で慌ただしくカツ丼を作っているではありませんか。次々と来店するお客さんへの対応に追われる姿を見ながら、ご主人が体調でも崩されたのか、小さいお子さんは誰が面倒を見ているのか、と思いながらいつもと変わらぬ美味しいカツ丼をいただきました。
一段落したのを見計らって、ご主人が居ない理由を聞いてみました。あるきっかけで、数週間前から時々“選手交代”しているのだと話してくれました。
奥さんが育児に専念し、ご主人が1人で店をみるようになって、それぞれに心身の負担が増え、知らず知らずの内にお互いにストレスをぶつけ合うようになってきたとのことでした。そんな中、ご主人が発熱した2人の子供を病院に連れて行くことになり、そのときの大変さが身にしみたこと、帰宅するとほとんど寝顔の子供にしか接することができない寂しさから、攻守ところを変えるアイデアが浮かんだようです。
その結果、お互いで苦労を分かち合えるようになり、相手を思いやれるようになったと、嬉しそうに話していました。丁度、その時2人の子供を抱えた、ご主人が、いつも見る緊張した表情とは別人の穏やかな笑顔で閉店間際の店内に入ってきました。
2010年03月15日
◆シミの治療
で問題となるのは、色素沈着です。
シミの中で最も治療する機会が多いのが“老斑(ろうはん)”と呼ばれる老人性色素斑です。“老斑”の治療にはレーザー、特にQスイッチレーザーがとても有効です。しかし、一時的に綺麗にシミが取れたように見えても、しばらくして約半数の方に程度の差はあっても色素沈着を認めます。
色素沈着は、シミとは全く別物ですが、見た目はもとのシミと同じか、場合によってはそれより濃くなることもあるので、困りものです。色素沈着自体は徐々に薄くなっていきますが、それでも6ヶ月以上かかるため、その間、患者さんはもちろん治療する側にとっても辛い日々が続きます。
どうすれば色素沈着を予防できるのか、レーザーの種類、照射エネルギー、照射方法、アフターケアなど色々の点から検討されていますが、未だ結論は出ていません。
これまで、数多くのヤケド患者さんを治療してきた経験から、レーザー照射後の色素沈着を予防する上でアフターケアがとても大切だと考えています。
次の写真は、顔面のヤケドの治療経過です。
料理中に火炎で受傷し、その翌日、来院時の写真です。部分的に皮がむけています。治療はできるだけ皮がむけないようにそっと軟膏を塗って処置するように説明しました。

1週間後、幸いヤケドが浅かったためほとんど治っています。

受傷後2週間、部分的に色素沈着が出てきています。

受傷後4週間、色素沈着がかなり濃くなってきました。振り返ると初診時に、すでに皮がむけていた部分のみが色素沈着になっているのがよく分かります。

軟膏を塗るというケアだけでも、キズを刺激することになり、全く同じ深さのやけどでも結果的にこれほどの差を生じたのです。色素沈着とは、原因が何であれ皮膚が受けたダメージに対する身体の防御反応ですので、その反応を最小限にする、つまりキズをできるだけ刺激せずに治していくことが大切なのです。
従って当院ではシミのレーザー治療後に、キズの治りを早めるシートを貼って、できるだけ外からの刺激をなくすようにケアしています。治ったあとは、さらに紫外線の刺激からくる色素沈着を防ぐよう指導していきます。
残念ながら、それでも色素沈着をゼロにできないのが辛いところです。シミは、本当に手強いです。
シミの中で最も治療する機会が多いのが“老斑(ろうはん)”と呼ばれる老人性色素斑です。“老斑”の治療にはレーザー、特にQスイッチレーザーがとても有効です。しかし、一時的に綺麗にシミが取れたように見えても、しばらくして約半数の方に程度の差はあっても色素沈着を認めます。
色素沈着は、シミとは全く別物ですが、見た目はもとのシミと同じか、場合によってはそれより濃くなることもあるので、困りものです。色素沈着自体は徐々に薄くなっていきますが、それでも6ヶ月以上かかるため、その間、患者さんはもちろん治療する側にとっても辛い日々が続きます。
どうすれば色素沈着を予防できるのか、レーザーの種類、照射エネルギー、照射方法、アフターケアなど色々の点から検討されていますが、未だ結論は出ていません。
これまで、数多くのヤケド患者さんを治療してきた経験から、レーザー照射後の色素沈着を予防する上でアフターケアがとても大切だと考えています。
次の写真は、顔面のヤケドの治療経過です。
料理中に火炎で受傷し、その翌日、来院時の写真です。部分的に皮がむけています。治療はできるだけ皮がむけないようにそっと軟膏を塗って処置するように説明しました。

1週間後、幸いヤケドが浅かったためほとんど治っています。

受傷後2週間、部分的に色素沈着が出てきています。

受傷後4週間、色素沈着がかなり濃くなってきました。振り返ると初診時に、すでに皮がむけていた部分のみが色素沈着になっているのがよく分かります。

軟膏を塗るというケアだけでも、キズを刺激することになり、全く同じ深さのやけどでも結果的にこれほどの差を生じたのです。色素沈着とは、原因が何であれ皮膚が受けたダメージに対する身体の防御反応ですので、その反応を最小限にする、つまりキズをできるだけ刺激せずに治していくことが大切なのです。
従って当院ではシミのレーザー治療後に、キズの治りを早めるシートを貼って、できるだけ外からの刺激をなくすようにケアしています。治ったあとは、さらに紫外線の刺激からくる色素沈着を防ぐよう指導していきます。
残念ながら、それでも色素沈着をゼロにできないのが辛いところです。シミは、本当に手強いです。
2010年03月13日
◆“Bill”
は、誰のニックネームか分かりますか。
『“Bill” Clinton』とは、かの有名な米国の元大統領がですが、実は彼の本名は『William Jefferson Clinton』と言い、“Bill”は、本名“William”のニックネームなのです。恥ずかしながら、私はそのことを昨日まで知りませんでした。
昨日、手術をした日本人女性のご主人が、米国の方で手術前にお会いした際、ご自分を“Bill”と自己紹介して名刺を渡してくれました。見るとファーストネームが“William”なので、不思議に思い奥さんに問うと、笑いながらニックネームが“Bill”なのだと教えてくれました。
なぜ笑いながらなのか、すぐに分かりました。
初めてご主人と出会ったとき、やはり“Bill”と自己紹介されたそうです。その後、付き合い始めて、しばらくした頃に本名が“William”だと分かった際、自分はだまされていたんだと思ったそうです。そこで交際をやめようか思っていたところ、ご主人は、その誤解をとくのに必死になって、友人の助けを借りて、なんとか自分を説得できた、と話してくれました。
その後、インターネットで検索すると、何と英語のニックネーム辞典なるものがあるではありませんか。
海外の学会で友人医師同士がファーストネームの省略形で呼び合っていると思ったのは、実はそれぞれの本名に対応するニックネームで読んでいたんだと分かりました。その辞典を見るとほとんどは本名の短縮形、省略形ですが、“William”が、なぜ“Bill”なのか、見当がつきません。
『“Bill” Clinton』とは、かの有名な米国の元大統領がですが、実は彼の本名は『William Jefferson Clinton』と言い、“Bill”は、本名“William”のニックネームなのです。恥ずかしながら、私はそのことを昨日まで知りませんでした。
昨日、手術をした日本人女性のご主人が、米国の方で手術前にお会いした際、ご自分を“Bill”と自己紹介して名刺を渡してくれました。見るとファーストネームが“William”なので、不思議に思い奥さんに問うと、笑いながらニックネームが“Bill”なのだと教えてくれました。
なぜ笑いながらなのか、すぐに分かりました。
初めてご主人と出会ったとき、やはり“Bill”と自己紹介されたそうです。その後、付き合い始めて、しばらくした頃に本名が“William”だと分かった際、自分はだまされていたんだと思ったそうです。そこで交際をやめようか思っていたところ、ご主人は、その誤解をとくのに必死になって、友人の助けを借りて、なんとか自分を説得できた、と話してくれました。
その後、インターネットで検索すると、何と英語のニックネーム辞典なるものがあるではありませんか。
海外の学会で友人医師同士がファーストネームの省略形で呼び合っていると思ったのは、実はそれぞれの本名に対応するニックネームで読んでいたんだと分かりました。その辞典を見るとほとんどは本名の短縮形、省略形ですが、“William”が、なぜ“Bill”なのか、見当がつきません。
2010年03月10日
◆「嘘をつかない、
わかるように、今後の事も考えて」
この言葉は、6年前、県立中部病院に勤務していた頃に、ある小児科医の講演で聞いた『子供への告知3原則』です。たまたま、心に残った言葉を書き留めておいたメモをめくっていて見つけました。
その先生とは、東京の聖路加国際病院の小児科部長で小児がん・血液病が専門の細谷亮太医師です。
不幸にして悪性腫瘍や血液病を患った小児患者をケアしていくということは、5年、10年あるいはそれ以上続く、長く、辛い治療の道のりを本人、家族と共に歩んでいくことを意味します。治癒という目標に一緒にたどり着くため、何より大切なことは、まず本人との確固とした信頼関係を築くことです。数多くの患者さんと共に、長い長い道を歩んで来た先生の言葉は、シンプルながらも、彼らから信頼を得るための医師としての心構えを的確に表しています。
今日、当院に指をカッターで切った3歳の男の子と顔面を電柱にぶつけキズを負った8歳の男児が受診しました。以前のブログで紹介した『つかみ』と『蚊が3匹』の話術を駆使して、スムースに処置することができました。
その時、細谷先生のいう『子供への告知3原則=嘘をつかない、わかるように、今後の事も考えて』を実践している自分に気づきました。
この言葉は、6年前、県立中部病院に勤務していた頃に、ある小児科医の講演で聞いた『子供への告知3原則』です。たまたま、心に残った言葉を書き留めておいたメモをめくっていて見つけました。
その先生とは、東京の聖路加国際病院の小児科部長で小児がん・血液病が専門の細谷亮太医師です。
不幸にして悪性腫瘍や血液病を患った小児患者をケアしていくということは、5年、10年あるいはそれ以上続く、長く、辛い治療の道のりを本人、家族と共に歩んでいくことを意味します。治癒という目標に一緒にたどり着くため、何より大切なことは、まず本人との確固とした信頼関係を築くことです。数多くの患者さんと共に、長い長い道を歩んで来た先生の言葉は、シンプルながらも、彼らから信頼を得るための医師としての心構えを的確に表しています。
今日、当院に指をカッターで切った3歳の男の子と顔面を電柱にぶつけキズを負った8歳の男児が受診しました。以前のブログで紹介した『つかみ』と『蚊が3匹』の話術を駆使して、スムースに処置することができました。
その時、細谷先生のいう『子供への告知3原則=嘘をつかない、わかるように、今後の事も考えて』を実践している自分に気づきました。
2010年03月09日
◆「追い込み
ですね」と、声をかける季節になりました。当院を通院中の方にも受験生がいます。
ある中学3年の女生徒が、昨年の夏から通院しています。最初は、私の方からいろいろ質問しても、ふてくされて“別に”といった感じでした。いつも付き添っている母親が、困った様子で代わりに返答してくれました。
「中3だったら受験だね、どこに行きたいの」と、尋ねたときに診察室の空気が一瞬、固まりました。反抗期の真っ只中で、家でもきっと、その話題で親とぶつかっているのかなと、想像に難くない雰囲気でした。
その後、治療を続けていく中で、症状が改善するにつれて表情が穏やかになり、少しずつ、こちらからの問いかけにも応じてくれて、心を開きつつあるのが分かりました。「勉強は、面白くないかも知れないけど、今、やっとかないと大人になって、きっと後悔するからね」と説教じみた話をしても、素直に聞いてくれました。
先日の診察の際、「受験日が近づいて、いよいよ追い込みだね。」と問い掛けたところ、いつになくにこにこしながら、無言で頷いていました。その隣で、母親が一言、「追い込まれているのは、私の方ですよ・・・」。
その言葉に、思わず吹き出しそうになりしたが、その表情は、穏やかで、親と子が目標に向かって歩み始めたことからくる安堵感が十分に伝わってきました。
ある中学3年の女生徒が、昨年の夏から通院しています。最初は、私の方からいろいろ質問しても、ふてくされて“別に”といった感じでした。いつも付き添っている母親が、困った様子で代わりに返答してくれました。
「中3だったら受験だね、どこに行きたいの」と、尋ねたときに診察室の空気が一瞬、固まりました。反抗期の真っ只中で、家でもきっと、その話題で親とぶつかっているのかなと、想像に難くない雰囲気でした。
その後、治療を続けていく中で、症状が改善するにつれて表情が穏やかになり、少しずつ、こちらからの問いかけにも応じてくれて、心を開きつつあるのが分かりました。「勉強は、面白くないかも知れないけど、今、やっとかないと大人になって、きっと後悔するからね」と説教じみた話をしても、素直に聞いてくれました。
先日の診察の際、「受験日が近づいて、いよいよ追い込みだね。」と問い掛けたところ、いつになくにこにこしながら、無言で頷いていました。その隣で、母親が一言、「追い込まれているのは、私の方ですよ・・・」。
その言葉に、思わず吹き出しそうになりしたが、その表情は、穏やかで、親と子が目標に向かって歩み始めたことからくる安堵感が十分に伝わってきました。
タグ :受験
2010年03月08日
◆ケロイド
については、以前のブログでも触れましたが、形成外科で最も権威のある学術雑誌であるPlastic and Reconstructive Surgery(通称PRS、1月17日ブログ参照)の最新号で、現時点でのケロイド対するベストの治療法が紹介されました。著者は日本の形成外科医ですが、数多くの治療経験に基づいた結果で説得力のある内容でした。
大筋では、これまでの治療法と変わりませんが、具体的な指針を示している点が評価できます。まず、ケロイドの大きさと個数で外科的に完全に切り取るのか、否かの方針を立てます。つまり、ケロイドをなくすことを目標とするのか、あるいは改善ないし増悪阻止を目標とするのか、最初に治療目標を決めるわけです。
ケロイドを切り取った後は、いかに再発予防策を講じるか重要です。
具体的には以下の通りで、何れも徹底して行う必要があります。経験的に、最低1年は経過を見ないと再発の有無を判断できません。
背中のケロイド

完全に切り取って、電子線を照射しました。術後5ヶ月の状態で、良好に経過していますが、まだまだ油断はできません。
大筋では、これまでの治療法と変わりませんが、具体的な指針を示している点が評価できます。まず、ケロイドの大きさと個数で外科的に完全に切り取るのか、否かの方針を立てます。つまり、ケロイドをなくすことを目標とするのか、あるいは改善ないし増悪阻止を目標とするのか、最初に治療目標を決めるわけです。
ケロイドを切り取った後は、いかに再発予防策を講じるか重要です。
具体的には以下の通りで、何れも徹底して行う必要があります。経験的に、最低1年は経過を見ないと再発の有無を判断できません。
術後に電子線照射またはステロイドを局注する
抗アレルギー薬(トラニラスト)を内服する
キズをテーピングまたはシリコンシートでカバー(外的刺激の予防)する
キズへ緊張がかからないようにする
背中のケロイド

完全に切り取って、電子線を照射しました。術後5ヶ月の状態で、良好に経過していますが、まだまだ油断はできません。
2010年03月04日
◆ホクロ番外編
顔面にある黒い大きなホクロは、とても存在感があります。顔の中央、鼻周辺にあるものは、とても目立ちます。
さて、次の写真は、ある有名歌手ですが、本人と違う部分があります。どこか分かりますか、もしすぐに気づいた方は、観察力の鋭い方です。

もうお分かりと思います。あごに大きな黒いホクロがあります。

こんなに目立つホクロなのに気づかなかった方も、意外と多いと思います。
それほど人の記憶は曖昧です。
ホクロを切除したキズ跡が、できるだけ目立たないように綺麗に仕上げるのが形成外科医の仕事です。が、手術の結果が、良くても余り喜ばれない場合があります。
ある日、小鼻の横の大きなホクロを切り取った方を外来で診察していました。とても綺麗な仕上がりに「どこにホクロがあったのか、ほとんど分からないぐらいですね。」と話しても、あまり嬉しそうな顔をしません。理由を聞くと「職場のだれも気づいてくれないんです。」と、残念そうにつぶやきました。
さて、次の写真は、ある有名歌手ですが、本人と違う部分があります。どこか分かりますか、もしすぐに気づいた方は、観察力の鋭い方です。

もうお分かりと思います。あごに大きな黒いホクロがあります。

こんなに目立つホクロなのに気づかなかった方も、意外と多いと思います。
それほど人の記憶は曖昧です。
ホクロを切除したキズ跡が、できるだけ目立たないように綺麗に仕上げるのが形成外科医の仕事です。が、手術の結果が、良くても余り喜ばれない場合があります。
ある日、小鼻の横の大きなホクロを切り取った方を外来で診察していました。とても綺麗な仕上がりに「どこにホクロがあったのか、ほとんど分からないぐらいですね。」と話しても、あまり嬉しそうな顔をしません。理由を聞くと「職場のだれも気づいてくれないんです。」と、残念そうにつぶやきました。
2010年03月02日
◆ホクロ(4)
と言っても黒いものだけではないし、外見的に似たようなしこりも多く、意外と診断が難しい場合があるということは、前回までのブログでお話ししました。
見た目と経過から判断することを『臨床診断』、一方、病理検査(顕微鏡で細胞を見る検査)に基づく判断を『病理診断』と言います。どちらが最終的な病名=診断になるかというと、『病理診断』が確定診断ということになります。
実際には、すべてのホクロやしこりを病理検査に出すわけにはいきませんので、診療にあたっては、『臨床診断』の精度をいかに上げていくかが肝要です。私は、大学病院での形成外科研修時に、自分が手術した症例のすべてを病理検査に出して、顕微鏡下に自分の目で見て教授とともに『確定診断』を下す機会に恵まれました。その経験から、『臨床診断』の精度を高め、少なくとも「皮膚がんを疑う目」を養うことができた思っています。
ホクロであると自信を持って『臨床診断』した場合は、患者さんに負担の少ない、かつ、見た目にも良い仕上がりとなるような治療法を選択することになります。
下眼瞼のホクロ(母斑細胞性母斑)です。

眼瞼の縁に沿って削り取るように除去しました。その2ヶ月後の状態です。キズ跡もほとんど分かりません。
見た目と経過から判断することを『臨床診断』、一方、病理検査(顕微鏡で細胞を見る検査)に基づく判断を『病理診断』と言います。どちらが最終的な病名=診断になるかというと、『病理診断』が確定診断ということになります。
実際には、すべてのホクロやしこりを病理検査に出すわけにはいきませんので、診療にあたっては、『臨床診断』の精度をいかに上げていくかが肝要です。私は、大学病院での形成外科研修時に、自分が手術した症例のすべてを病理検査に出して、顕微鏡下に自分の目で見て教授とともに『確定診断』を下す機会に恵まれました。その経験から、『臨床診断』の精度を高め、少なくとも「皮膚がんを疑う目」を養うことができた思っています。
ホクロであると自信を持って『臨床診断』した場合は、患者さんに負担の少ない、かつ、見た目にも良い仕上がりとなるような治療法を選択することになります。
下眼瞼のホクロ(母斑細胞性母斑)です。

眼瞼の縁に沿って削り取るように除去しました。その2ヶ月後の状態です。キズ跡もほとんど分かりません。






