医療法人こころ満足会 形成外科KC

2011年10月05日

◆しこり129

で来られた方の中には他院ですでに何度か治療を受けたあとのこともあります。

鼻の真ん中の目立つ、赤いしこりです。


何度か、液体窒素による凍結療法を受けたようです。

一旦、良くなって再発してきたとのことで当院に紹介されました。

でき始めの外観は、ご本人から聞いても要領を得ず、出血しやすいため血管性の病変(化膿性肉芽腫)を考えました。

再発性の病変ですので、外科的にしっかり切り取ることにしました。

病理検査では、なんと尋常性疣贅(いわゆるイボ)でした。

尋常性疣贅の外観は特徴的ですので、臨床診断は比較的容易です。
何度も凍結治療を受けて、見た目がすっかり変わったようです。
  

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2011年10月02日

◆しこり128

シリーズでは、特定疾患の典型的な写真を紹介しています。

次の写真の診断は何でしょう?

これまで、数多くの「しこり」をご覧になった方は、似たようなしこりの記憶が残っているのではないでしょうか。


確定診断は黄色肉芽腫です(くわしくはこちら)。

しこり治療のエキスパートになるためには、いかに数多くの「しこり」を経験するかにかかっています。
さらに、臨床所見(見た目)から組織所見が思い浮かぶぐらい病理組織標本を数多く見ることも大切です。  

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2011年09月16日

◆しこり127

の治療前後も写真撮影を必ず行っています。

特にこれはと言うような術前写真は、私自身で撮るようにしています。
ただ、術後の経過観察の場合、特に問題なければ看護師に撮影をお願いするときもあります。

先日、粉瘤をくりぬき法で治療した方が3ヶ月後のフォローで来院されました。
担当した看護師は写真撮影も済んでいますと、左耳を指さします。ところがモニター上の術前写真は右耳前のしこりです。

聞くと患者さん自身が、反対側を手術した側だと思い込んでいたようです。手術した側のキズ跡がほとんどわからない状態で違和感もないので、勘違いしたのでしょう。

患者さんの言葉を信じて、なんの疑いも抱かずに看護師も手術していない側を撮影したのです。

術前のしこり


小さな切開から粉瘤(袋状のしこり)を取り出しているところ(白黒にしています)。


手術翌日


術後3ヶ月、よく観察しないとキズはわかりません
  

Posted by Dr.Ken at 23:46Comments(0)しこり

2011年08月30日

◆しこり126



どう見ても、しこりと言うより乳頭ですね?
実際は大腿部の柔らかいしこりです。びっくり!


切り取った標本をみるとしこりの本体は脂肪です。

脂肪組織の一種のヘルニアです(くわしくはこちら)。
  

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2011年08月18日

◆しこり125

の中で、成人型黄色肉芽腫については以前に紹介しました(こちら)。

成人型という呼び名があるからには「小児型」と言うのがあるのでしょうか。

「成人型」に呼応する表現は「小児型」ではなく「若年型」という表現が多いようです。実際、若年型黄色肉芽腫という疾患が存在します。

生後6ヶ月の若年型黄色肉芽腫です。



「若年型」と「成人型」の黄色肉芽腫は肉眼所見、組織所見(病理検査)は似ていますが、性質は異なります。

「若年型」は、生後6ヶ月までに生じることが多く、ほとんどが5〜6歳までに自然に消失します。多発する場合や自然に良くならない時に外科的に治療します。

「成人型」は、青年期以降に生じることが多く、ほとんど単発で自然に消失することは少ないとされています。  

Posted by Dr.Ken at 23:25Comments(0)しこり

2011年08月08日

◆しこり124

の中で、眉毛の周囲に良く見られる皮様のう腫については以前にも紹介しました(こちら)。

治療は外科的に摘出することになりますが、大切なことはどこをどのように切開するかです。

眉毛の部分はキズがきれいに治っても、その部分の毛が抜けると以外と目立ちます。

次の写真は眉毛部のしこりです。


眉毛の上部を切開することにしました。

いつものように3.5倍のルーペで見ながら、毛根を痛めないように毛の生えている方向と平行に切開して摘出しました。

術後2ヶ月、眉毛の脱落がほとんどないため、キズ跡も目立ちません。
  

Posted by Dr.Ken at 00:00Comments(0)しこり

2011年08月04日

◆しこり123

の中で外見が特徴的なもののひとつがこれです。

表面が平滑で黄褐色または赤褐色調の半球状のしこりです。


病理診断は成人型黄色肉芽腫でした(くわしくはこちら)。
  

Posted by Dr.Ken at 17:20Comments(2)しこり

2011年07月29日

◆しこり122

を数多く見ていると、触れた瞬間に、これは普通じゃないと思う時があります。
硬く、深く、動かないか動かしにくい、比較的大きなしこりです。

そんな時、次の診断手段は超音波検査です。しこりの深さ、形、境界が明瞭か否か、性質(嚢腫か、充実性か)、周囲の組織との関係など、多くの情報を収集できます。

その結果、良性のしこりと判断されれば、私は時間の許す限り受診当日に摘出するようにしています。そして病理検査を行います。

ただし、悪性の可能性を示す所見があれば、私はMRIでさらに質的に評価していきます。その画像診断で肉腫などの軟部組織腫瘍が疑われた場合、一般的に次のステップはしこりの一部を採取して組織検査することです。

確定診断が出た時点で、治療方針が決まります。つまり、悪性腫瘍をしっかり治すためには、多くの場合しこりを含めて広範囲に周囲の組織も切除する必要があるのです。

先日も、若い方が腕のしこりを訴えて来院されました。触れた瞬間、できるだけ早く、今回紹介したステップを迅速に踏まなければいけないと思いました。

幸いにして、連携病院での最新鋭のMRI検査がすぐに予約できて、その日のうちに放射線科専門医の読影結果も得られました。強く悪性腫瘍を疑う所見でしたので当院での治療は困難と判断し他院を紹介しました。

次の写真は最近、治療した指のしこりです。
臨床的に腱鞘巨細胞腫と診断して摘出しました。


病理診断も腱鞘巨細胞腫でした。
  

Posted by Dr.Ken at 23:28Comments(0)しこり

2011年07月16日

◆しこり121

中で粉瘤のくりぬき法については何度も紹介しました。

先日、1年前に顔面の粉瘤をくりぬき法で治療した方が別件で来院されました。

同法で治療を受けた方が、経過が良い場合にわざわざ1年後に見せに来院することは、ほとんどありません。

今回、たまたま治療後1年の状態を見ることができました。
その結果、くりぬき法がとてもよい方法であることを再確認しました。

術前


摘出した内容物


治療後2週間後


同1年後

キズ跡はどこでしょう。ほとんど分かりません。
  

Posted by Dr.Ken at 23:35Comments(0)しこり

2011年07月14日

◆しこり120

と言うよりも、皮膚が硬くなって中央にくぼみ(潰瘍)が高齢者の下肢にできました。

なかなか良くならないので他院で生検(病理検査)されてと皮膚がん(扁平上皮がん)と判明し当院へ紹介されました。

比較的悪性度の高い病変ですので筋膜も含めた広範囲の切除が必要です。


双葉皮弁で再建しました。



手術後6ヶ月、再発のサインはありません。


治りにくいキズは要注意です。  

Posted by Dr.Ken at 15:40Comments(0)しこり

2011年06月23日

◆しこり119

の中で、おそらくもっとも柔らかいのが軟線維腫です。

そのひとつがこれです。
大腿にできたもの。
<

肩にできたもの。


何れも真横から見るとキノコのように茎があり、切除した場合にキズ跡は意外なほど小さくてすみます。

軟線維腫は身体のどの部位にも生じますが、当院で治療する中では、やはり頚部や顔面が多いように感じます(こちら)。

また、柔らかくてキノコのような見た目でも組織検査でまったく別物の場合もあります(こちら)。  

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2011年06月15日

◆しこり118

の中で、皮膚がんに属するものはこれまでもいくつか紹介しました(詳しくはこちら)。

その中でも、悪性度の高いもののひとつがこれです。

高齢者の顔面にできた大きな腫瘍でしこりが大きくなるにつれ中央がつぶれて潰瘍になっています。進行した有棘細胞がんです。

もともとは日光性角化症という皮膚の紫外線ダメージに由来する上皮内がんが進行したものです。

高齢者の顔面、頚部、手指などの露出部によく見られるシミの内部や周囲に、なかなか治らない浅いキズがあれば日光性角化症を考えなくてはなりません。さらに、そのキズの中に小さくてもしこりを生じてきたときは、早めに専門医を受診してください。  

Posted by Dr.Ken at 23:41Comments(0)しこり

2011年06月08日

◆しこり117

の中で指に生じるものは、これまでもいくつか紹介しました(詳しくはこちら)。

経過、部位、硬さ、表面が平滑か否か、可動性があるか否か、圧痛(押すと痛い)があるか否か、などの情報からかなり診断を絞り込むことが可能です。

次の写真は、小指の付け根にできたしこりです。

ケガをしたこともなく、大きさの変化は数年前に気づいてからほとんどなく、硬く、表面は平滑、よく動き、圧痛はありませんでした。

その結果、指によくできる巨細胞腫、ガングリオン、類表皮嚢腫(粉瘤)などの可能性は低いと考えました。

摘出したものは、充実性で表面に光沢があるくらい平滑なしこりでした。

病理検査で神経鞘腫と判明しました。

術後4ヶ月。
  

Posted by Dr.Ken at 22:25Comments(0)しこり

2011年06月04日

◆しこり116

の中でお尻(仙・尾骨部)に生じるものは、以前にも紹介しました(こちら)。

生まれつきのしこりだと奇形腫と呼ばれる稀な病変のこともあります。その場合、治療前に周辺の骨や腸管(直腸)との位置関係をキチッと評価する必要があります。
 
次の写真は成人の仙骨部のしこりです。柔らかく境界がはっきりした腫瘤でした。

いつから生じたのか、記憶が定かでなく、先天性のしこりの可能性も否定できませんでした。

CT

MRI

何れの検査でも、尾骨に接するのう腫であることがわかりました。また、直腸周囲との交通もありませんでした。

その結果、局所麻酔での手術が可能と判断し、無事摘出できました。  

Posted by Dr.Ken at 23:17Comments(0)しこり

2011年05月28日

◆しこり115

の中で最も頻度の高い粉瘤の治療については、何度も紹介しました(その)。

治療の中でくりぬき法で行う場合のポイントは、小さな皮膚切開から、いかに粉瘤の袋を確実に除去するかです。そのため、「袋」の内容物である角質(いわゆる皮膚あか)をできるだけ除去して、袋を小さくして取り出す必要があります。

実は内容物である角質自体の性質(色、匂い、柔らかさ、粘度など)には、個人差があるのみでなく、部位毎に違いがあるように思います。

通常は、皮膚をくりぬいた後に鋭匙と呼ばれる小さな外科用のさじで角質をかき取りますが、クリーム状に柔らかいと注射器で吸引することもできます。その結果、悪臭が周囲に漏れず効率的に角質を抜き取ることができます。

3cm以上の比較的大きな粉瘤


角質を撹拌してクリーム状にして注射器で抜き取っているところ


小さくなった袋(のう腫)を丁寧に剥がして取り出しているところ



切開孔は約3mmですが、最終的にはキズ跡は2mm前後になります


注:全例で注射器による角質の抜き取りができるわけではありません。もちろん、注射器を使えなくても鋭匙で少しづつかき出せれば結果は同じです。  

Posted by Dr.Ken at 20:34Comments(0)しこり

2011年05月16日

◆しこり114

の中で臍(へそ)の中に生じるものを、いくつか紹介しました(その)。

 
次の写真は30歳代の方です。

1ヶ月前から、へそがじくじくしてきて徐々に小さな紅色のしこりが出てきたとのことで来院されました。


例によって、へそのしこりはいろんな原因を想定して診察しなければいけません。これまでもブログでお見せしたように、腸管・膀胱・子宮と関係するもの、内臓癌に由来するもの、もちろん粉瘤や脂肪腫などの皮膚・皮下組織由来のしこりも考えなくてはいけません。

結局、写真の方は膀胱と関係した尿膜管遺残が原因と判明しました。

尿膜管遺残とは生まれつきの病気ですが、生後30年以上も経て症状が出てくるというのも人体の不思議です。

これまで紹介してきたへそのしこりは、一般に稀な病気と教科書には書かれていますが、私の印象は異なります。へそのじくじく、しこりに気づいたときは痛みなどの症状がなくても、早めの精査をおすすめします。  

Posted by Dr.Ken at 10:37Comments(5)しこり

2011年05月04日

◆しこり113

の中で、手首の周辺によくできるガングリオンついては、以前にも紹介しました(詳しくはこちら)。

但し、先入観にとらわれていると思わぬ落とし穴に陥ることがあります。

次の写真は典型的なガングリオンです。


超音波検査でも、しこり部分が黒く抜けていて内容が液体、ないしゼリー状の物でガングリオンの所見に一致します。



さて、次の写真はどうでしょう。しこりの形や部位は典型的なガングリオンです。


ところが、超音波ではガングリオンの所見とはまったく違います。脂肪腫か神経腫の診断で手術に臨みました。


結果的には脂肪腫でした。


このように何らかの画像検査で術前に診断を絞り込むことは可能ですが、別物の可能性が1%でもある、と思って手術に臨むことは大切です。  

Posted by Dr.Ken at 14:02Comments(0)しこり

2011年04月30日

◆しこり112

の中で、口にできる粘液のう腫も、比較的よく見られる疾患のひとつです。

だ液を出す小唾液腺と呼ばれる組織が口の粘膜には無数にあります。だ液の通り道である管(導管)が何らかの原因で閉塞して、だ液が貯留してのう腫になると考えられています。

痛みもないため、すぐに病院を受診する方は少ないと思いますが、大きくなると違和感が強くなり、時に咬んでつぶれてしまうこともあります。

小児の口の中にできた比較的大きな粘液のう腫です。


丁寧に剥がしていくとだ液(粘液)を容れた薄い袋状のしこりであることがよく分かります。


完全に摘出した粘液のう腫とその横の小さな組織が小唾液腺です。

  

Posted by Dr.Ken at 23:56Comments(0)しこり

2011年04月25日

◆しこり111

の中で、耳下腺や小唾液腺由来の腫瘍については以前にも紹介しました(詳しくはこちら)。

次の写真は頬にできたしこりですが、耳下腺のある場所よりはやや前方(鼻より)です。境界がはっきりしていて硬く触れました。

頻度は少ないものの部位的に考えないといけないのが副耳下腺腫瘍です。

摘出すると肉眼的には、粉瘤や脂肪腫などとは明らかに異なります。

病理検査で、部位も考慮して副耳下腺腫瘍と診断されました。
  

Posted by Dr.Ken at 22:34Comments(0)しこり

2011年04月19日

◆しこり110

の中で、指趾にできる粘液のう腫については以前にも紹介しました(詳しくはこちら)。

決して稀な病変ではありませんし良性のできものですが、時に袋が破れ中味の粘液が漏れ出し、感染を来すことがあります。また、徐々に大きくなり、痛むこともありますので、早めに治療することをおすすめしています。

治療としては、何らかの薬液を注入して固める方法もあるようですが、私は外科的に切除しています。関節との交通することもあるのう腫(袋)を確実に切り取って、確実に皮膚の欠損部分を縫い合わせる必要があります。ただ、問題は関節周囲の皮膚は伸展性に乏しく、たとえ小さな欠損でも簡単に閉じることはできません。

そこで、私は以前に紹介した双葉皮弁(詳しくはこちら)で閉鎖しています。

治療前、足趾の粘液のう腫


双葉皮弁のデザイン


手術後6ヶ月、再発なし、元々関節の変形がありました

  

Posted by Dr.Ken at 23:29Comments(0)しこり

2011年04月08日

◆しこり109

の中で、表面から見えにくいもののひとつで「グロームス腫瘍」については以前に紹介しました(こちら)。

 多くは爪の根元を押したときの激痛を訴えて来院され、たとえしこりは見えなくても部位と症状から診断は比較的容易です。

 外科的に、キチッと取り切れれば、劇的に症状は改善します。ところが取り残しがあると程なく症状が再発します。

次の方は、以前に2度手術を受けたものの再発し、当院に紹介来院しました。

爪の根元にキズがあり、そこに触れるだけでも強い痛みを訴えます。


視診、触診では大きさ、形を正確に評価できないためMRI検査を行いました。


解像度が必ずしも思ったほどではありませんでしたが、ダンベル様(だるま様)の形であることが予想されました。


 手術はまず爪を一時的に抜去して、キズ跡に沿って切開し、しこりを摘出しました。以前の手術の影響で剥離操作は困難でしたが、手術前に予想した通りの形で完全に取り切れたと思います。

摘出したしこりです。


手術直後の状態、抜去した爪は元に戻し固定します。


手術後4ヶ月の状態、爪の形も良く痛みはまったくありません。


 この腫瘍に対する手術の目的は、しこりを完全に摘出し、爪の変形も残さず直すことです。
そのため、できれば術前に高解像度のMRIでしこりの大きさ、形を評価し、手技的には、まず爪を一旦丁寧に抜去して、しこりを確実に取り切る術野を確保することだと考えています。  

Posted by Dr.Ken at 08:08Comments(0)しこり

2011年04月04日

◆しこり108

の中で、「似て非なるもの」についてはこれまでも何度か紹介しました(こちら)。

次のしこりの診断は何でしょうか。

パッと見にはホクロです。


しかし、4ヶ月前から気づき、それ以前はまったく何もなかったと、患者さんは自信を持って答えていました。

となると、ホクロの可能性は低く、黒いしこりの中で以前に紹介した基底細胞癌も考えなければなりません。

全切除して病理検査を行いました。

結局、「血栓形成した毛細血管拡張」との病理診断でした。局所的に拡張した血管の中に血のかたまりが長く残っていたと言うことです。


私の中では、血栓という予想はなかったので、意外でした。びっくり!

結果的に、杞憂に終わりましたが、そうでない場合もあるわけで、黒いしこりは早めに治療した方が良いのは間違いありません。  

Posted by Dr.Ken at 08:00Comments(0)しこり

2011年03月29日

◆しこり107

の中で、へそにできるものについては以前にも紹介しました(こちら12)。

次の写真は30歳代の女性にできたへそのしこりです。

半年前に気づき、痛みもなく急な大きさ、形の変化もないとのことです。また、生理との関係もありませんでした。


 臨床診断は、場所の特異性から腸管や膀胱(尿膜管)と関係するもの、腸管の悪性腫瘍の転移に加えて、女性であることから子宮内膜症も考えました。


 
診断の意味もあり切り取って病理検査を行いました。


結果は「子宮内膜症」でした。びっくり!


「子宮内膜症」は良性の疾患で、「子宮内膜の組織が本来の正常な内膜以外の部位に異所性に認められる状態」と定義されています。子宮内膜症全体の中で皮膚と皮下の病変は1.9%で、その内、腹部の手術後瘢痕に51%、へそ34%、ソケイ部9%、外陰部6%で見られます。ですからへそのしこりで子宮内膜症である頻度は決して高くありません。

 しかし、女性のへそのしこりを見たらいつもその可能性を頭に入れる必要があります。コレ!  

Posted by Dr.Ken at 23:52Comments(2)しこり

2011年03月24日

◆しこり106

の中で眼瞼にできるものは何度か紹介しました。

 眼瞼の悪性腫瘍も稀ではありませんが、特に基底細胞癌は眼瞼周囲に比較的よくみられる腫瘍です。眼瞼の悪性腫瘍で問題になるのは、やはり切除後の再建です。中でも、上眼瞼は動きのある組織であり、まつげや瞼板があり整容的にもとても重要な場所ですので、下眼瞼より再建が難しくなります。

 次の方は、右上眼瞼の黒いしこりで来院され、組織検査で基底細胞癌の結節型と診断されました。


 その腫瘍は、悪性度の低い腫瘍ですので辺縁から2〜3ミリ離して切り取れば十分です。


 しかし、場所的に簡単に縫い寄せることはできません。


そこで目尻側の組織を利用して再建しました。


 術後6ヶ月、結果的にまぶたの動きも問題なく、見た目的にも十分満足行く仕上がりになりました。
  

Posted by Dr.Ken at 17:20Comments(0)しこり

2011年03月22日

◆しこり105

で指にできるものの頻度で言えば、ベスト3に入るのはこれです。

最近の症例

 腱鞘由来の巨細胞腫というと怖い病気の様に聞こえますが、悪性のものではなく、また稀なしこりでもありません。


 数多くのしこりを見てきて言えることは、痛みがなくても、大きくなくても、しこりはしこりですので、早めにその治療に精通した医師に相談したほうが良いということです。  

Posted by Dr.Ken at 23:59Comments(0)しこり

2011年03月13日

◆しこり104

シリーズをこんな状況で続けるなんて不謹慎だとお叱りを受けるかも知れませんが、敢えてアップします。

 某アスリートの言葉(こちら)「今まで自分が毎日やってきていた役割をこういう災害時でもかわらず淡々と行う事が大切だと思います。」に共感を覚えたからです。

今日のしこりはこれです(矢印)。

 左足裏の痛みを訴えて来られました。左右の足の形もほぼ同じ、歩き方も普通です。よく見ると第1足趾の痛みの部位に一致して、角質の肥厚つまりタコ(医学的には胼胝:べんち)を認めます。


 
さらに目をこらすとタコの中に小さなしこり(矢印)を認めます。

その部分を押すと痛みを訴えました。そうです、これがいわゆる魚の目(医学的には鶏眼:けいがん)です。


魚の目は、皮膚の角質がとても小さな範囲でしこりを形成し、くさび状に深部に伸びて行く状態です。
原因は不明ですが、そのしこり(角質)を除去することで劇的に症状は改善します。  

Posted by Dr.Ken at 23:09Comments(2)しこり

2011年03月10日

◆しこり103

の治療で、最も大切なことのひとつが悪性のしこりを見落とさずにキチッと診断をつけて、根治的治療に繋げることです。

 先日も診察していて、これは普通じゃないと思うようなしこりを治療しました。

 大腿部の硬いしこりです。


 
超音波検査で充実性の部分とのう腫状の部分を有するしこりであることがわかりました。


 しこりを全摘出しました。万一、悪性の場合はさらに広い範囲で周囲の組織を切除する必要がありますが、良性の場合は治療が1回で完結するように切り取ったわけです。

 取ったものに割面を入れると異様に硬いしこりであることがわかりました。


病理検査の依頼票には転移性癌疑いと書いて提出しました。

 病理検査の結果で「結節性汗腺腫」という、稀ですが良性の疾患と判明しました。
その結果を聞いた患者さんが安堵の表情を浮かべたのはもちろんですが、治療した私もホッと一安心でした。  

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2011年03月06日

◆しこり102

の中には体表面からはまったく見えないものもあります。

次の写真は「口が開きにくい」とのことで来院された方のCTです。
水平断:矢印で囲んだ部分が腫瘍です。


前頭断:同じく矢印で囲んだ部分が腫瘍です。


結局、下顎骨の内側にできた腫瘍でした。

写真の様に顔の骨を切って腫瘍を摘出しました。
  

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2011年03月05日

◆しこり101

の中で皮様のう腫については以前にも紹介しました(こちら)。

 眉毛の外側が好発部なので、その部分のしこりは、まず皮様のう腫を疑います。

 もっともありふれたしこりである粉瘤(類表皮のう腫)にとても似ています。
両者とも皮膚で出来た袋状のしこりですが、決定的な違いは粉瘤の壁が表皮から成る袋なのに対して、皮様のう腫は表皮と真皮、皮膚付属器の成分を含んでいることです。

 比較的大きな眉毛外側のしこりです。


 のう腫を開いてみると中から無数の毛が出てきました。

病理検査を待つまでもなく毛という皮膚付属器を含んだ皮様のう腫であることが分かります。
  

Posted by Dr.Ken at 23:31Comments(0)しこり

2011年03月02日

◆ワニの涙

症候群とは、食事の時に、悲しくもないのにぽろぽろ涙が流れ出てくる状態のことです。

ワニが獲物を食べる時に涙を流す(ように見える)のは事実です。なぜ涙を流すのか理由はわかっていませんが、「ワニが 獲物を食べながら(殺すのを悲しんでいるわけでもないのに)涙を 流す」状態が見られる事から「ワニの空涙」というのは、「偽善」を意味する例えで使われることもあるようです(詳しくはこちら)。

ところで人間で発症する「ワニの涙症候群」には、原因があります。ケガ(頭蓋底骨折)の後や生れつきの病気(先天性外直筋麻痺を持つ顔面神経麻痺)などに見られる後遺症の一つです。唾液腺へいく神経と涙腺にいく神経が再生の過程で誤って混線して、食事の時に涙が出てしまうわけです。

 一方、次の写真のような右耳下腺腫瘍を切除した後にも、神経が再生する過程で混線し、問題が生じる場合があります。

 
Frey(フライ)症候群と呼ばれ、食事の時に、腫瘍と同じ側の頬の皮膚に、発汗・発赤・熱感が生じる状態です。耳下腺腫瘍術後に30%以上で発生するという報告もあります。

神経の再生のイタズラとはいえ悩ましい後遺症です。  

Posted by Dr.Ken at 18:41Comments(0)しこり